羊毛(ウール)の断熱材とは?メリット・デメリットを解説
羊毛(ウール)と聞くと、セーターなどの洋服を真っ先に思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
カシミヤやメリノウールなどの羊毛の洋服は、暖かくて着心地が良いというイメージがありますよね。
しかし、羊毛が使われているのは洋服だけではありません。
実は、羊毛は断熱材としても高い性能が認められているのです。
今回は羊毛断熱の断熱性能や、メリット・デメリットについて紹介します。
Contents
羊毛(ウール)を使った断熱材とは?
家づくりを計画していると、さまざまな断熱材の名前を聞きますよね。
グラスウール、ロックウールなど「ウール」という名の断熱材がありますが、どれも羊毛で作られたわけではありません。
これらは、ガラスや鉱物の繊維系の断熱材です。
一方、羊毛断熱とは天然の羊毛(ウール)が使われた断熱材のことを指します。
グラスウールやロックウールなどの、嫌なチクチク感もなく素手で作業できるほど触り心地の良い断熱材です。
薄いウールを何層も重ねて作られる羊毛断熱は、手でちぎれるほど柔らかく施工性の高さも特徴と言えるでしょう。
素材の柔らかいため細部の隙間まで簡単に埋めることもでき、高い気密性能も期待できます。
羊毛断熱の断熱性能
羊毛断熱材の仕組みを紹介します。
ウールの特徴は、1本の繊維が2種類の細胞からできている点です。
この2種類の細胞の成長スピードが異なるため、1本の繊維がくるくるとねじれてクリンプ状に絡まり合ってできています。
繊維が縮れていることにより多くの空気を含むことができ、高い断熱性や保温性を確保できるという仕組みです。
このような仕上がりを工場生産することは不可能であり、羊毛だからこそ実現できた構造と言えるでしょう。
具体的な断熱性能について紹介します。
各メーカーや商品によって細かな数値は異なりますが、羊毛断熱の熱伝導率は0.4W/m・K前後の数値が標準的です。
・参考ページ:断熱材 ウールブレス|断熱|アイティエヌジャパン
・参考ページ:ラインナップ・仕様|COSMO PROJECT(株式会社コスモプロジェクト)
他の断熱材との差を比較してみましょう。
熱伝導率の数値が低いほど、熱を通しにくい素材という意味です。
高性能グラスウールやポリスチレンフォームとも数値が近く、高い断熱性能を確保できていることがわかります。
また、同じ自然素材であるセルロースファイバーとも同等の熱伝導率を誇ります。
身体に優しい断熱材を検討したい方は、セルロースファイバーについてもチェックしてみてくださいね。
▷おすすめコラム:【断熱材】セルロースファイバーを選んで後悔しない?メリット・デメリットを解説
羊毛断熱のメリット
羊毛断熱のメリットを紹介します。
調湿効果がある
羊毛断熱は高い調湿効果を期待できる断熱材です。
ウールの表面の膜は水を弾きますが、内部は湿気を浸透させるという特徴があります。
空間が乾燥している間は適度な湿気を含み、湿度が高いと湿気を吐き出すことが可能です。
確かに、ウールの布団やセーターなどで蒸れを感じることはありませんよね。
建物は、外気との温度差や調湿ができていないことが原因で壁内結露が起こることがあり、構造体のカビや腐朽の原因となります。
調湿効果のある断熱材を採用することで壁内の結露を防ぐことができ、構造体の劣化を防ぐことができるのです。
吸音性がある
羊毛断熱には吸音性があることも認められています。
吸音性があると室内の音が外に漏れにくいため、小さなお子様やペットがいてもストレスなく生活できますよね。
また、外の音も気になりにくくなるため、快適な環境で暮らすことができるでしょう。
ちなみに、(財)日本建築総合試験所が行った羊毛断熱の吸音性能の実験では、次のような結果が出ています。
ウールブレスの吸音性能を調べるために試験を行いました。
試験の結果から、ウールブレスは2,000Hz~5,000Hzまでの音を平均すると67%以上吸音し、5,000Hzでは74%も吸音することが分かります。
ちなみに「Hz」とは音の周波数のことで、数値が高いほど高い音として聞こえています。
人間がもっとも良く聞こえる周波数のは2,000~4,000Hzとされており、女性の悲鳴や赤ちゃんの泣き声が該当する周波数です。
これらの音を60%強も吸音するので、かなりの防音効果が期待できるでしょう。
耐水性が高い
ウールの表面は水を弾く薄い膜で覆われています。
耐水性が高いため、仮に濡れても表面に水が付くだけなのですぐに乾きます。
水に強いため劣化もほとんどなく、耐久性も高い断熱材です。
グラスウールは繊維の間の空気層で保水してしまうため、必ず防湿フィルムを施工します。
対して、羊毛断熱は国土交通省から「防露認定」されているため、防湿シートの施工の省略が可能です。
羊毛断熱は、国からも耐水性が高いことが認められた質の高い断熱材と言えるでしょう。
有害物質を発生しないため身体に優しい
羊毛断熱は、ホルムアルデヒドなどの有害物質を発散させない断熱材です。
なぜなら、羊の毛からできている天然素材を原材料にしているのに加え、断熱材を作る過程において接着剤や防腐剤などを一切使用していないからです。
身体に優しい家づくりをしたいなら見えないところにもこだわるべき。
このような考えを持っているなら、羊毛断熱はぴったりの断熱材と言えるでしょう。
ホルムアルデヒドは、シックハウス症候群の原因となる危険な気体です。
断熱材を工夫する以外にも、さまざまな方法でホルムアルデヒドを低減させることができます。
詳しくはこちらのコラムをチェックしてみてくださいね。
▷ホルムアルデヒドとは?症状や臭いを抑える家づくりをする方法を解説
臭いや有害物質を吸着・除去する効果がある
ウールは消臭効果や有害物質を除去する効果も持ち合わせています。
繊維内に臭いやホルムアルデヒドなどの有害物質を吸着させ、除去することが可能です。
ペットやたばこ、生ごみの臭いの原因となるアンモニアや酢酸を、2時間後には90%以上除去したという実験データもあります。
▷参考資料:サーモウールTOP|COSMO PROJECT(株式会社コスモプロジェクト)
断熱材の役割は、ただ家の断熱性能を高めるためだけではありません。
安全性や快適性にも目を向けて、断熱材選びをしてみてくださいね。
羊毛断熱のデメリット
羊毛断熱のデメリットを紹介します。
他の断熱材と比べて価格が割高
羊毛断熱は天然のウールを使用した断熱材のため、生産量が限られてしまいます。
そのため、工場での量産が可能なグラスウールなどの断熱材と比較すると、価格が割高です。
初期費用のコストアップがデメリットと言えるでしょう。
しかし、断熱材は入居後に簡単にリフォームできる内容ではありません。
建築時に、断熱性能が高くて耐久性や安全性も魅力的な羊毛断熱を採用することで、住んでからの快適性は大きく異なります。
長い目で見たときのメリットを考えて、羊毛断熱の必要性を考えてみてくださいね。
採用している住宅会社が少ない
羊毛断熱は、採用している住宅会社が少ない点もメリットとして挙げられます。
オプションで羊毛断熱を採用できる住宅会社もありますが、割高になったり施工に慣れてなかったりするため注意が必要です。
標準仕様が羊毛断熱の会社で絞り込みをすると、かなり少ない選択肢の中から選ばなければいけません。
ちなみに、羊毛断熱を取り入れている会社は、住む人の安全性や住み心地を意識した家づくりをしてくれる可能性が高いです。
なぜなら、コストよりも身体に優しい素材を優先させて断熱材選びをしてくれていますからね。
断熱材以外の素材も、自然素材などを多く取り入れている会社かもしれません。
その会社の想いをしっかり理解して、後悔のない会社選びを行いましょう。
まとめ:羊毛断熱で快適で安全性の高い暮らしを!
羊毛断熱は断熱性の高さはもちろんのこと、他にもさまざまな良い点があります。
中でもウールを使った天然素材による、安全性は魅力的ですよね。
シックハウス症候群などにかかる危険性を軽減したり、嫌な生活臭を取り除いてくれたりする点は、工業製品の断熱材では実現が難しく、天然素材ならではのメリットと言えるでしょう。
羊毛断熱を取り入れたマイホームで、快適で健康な暮らしを送ってみてはいかがでしょうか。
フォレストブレスでは羊毛断熱はもちろんのこと、他にも様々な自然・天然素材を取り入れた家づくりを行っています。
住む人の身体に優しい家づくりに興味がある方は、ぜひお気軽にご相談くださいね。
使用している自然素材や標準的な仕様は、こちらのページをご確認ください。
「自然素材の家」を建てるなら茨城県石岡市のフォレストブレスへ
フォレストブレスでは国産無垢材や漆喰、シラス壁などを活かした自然素材の家づくりを行っています。
断熱材にはセルロースファイバーや羊毛断熱、接着剤には膠や米糊など採用に、目に見えない部分の素材選びにもこだわり抜いています。
自然素材の家に興味がある方、身体に良い家を建てたい方のご相談をお待ちしております。
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