耐震リフォームの方法や費用目安は?補助金・住宅ローン減税についても
「今住んでいる家の耐震性が不安」
「中古住宅購入と合わせて性能向上のためのリフォームをしたい」
「耐震リフォームにいくらかかるか知りたい」
そうお考えの方は少なくないはずです。
そこで、今回は木造住宅の「耐震リフォーム」について、必要性を判断する方法や、工事内容、費用目安、関連する補助金・減税制度について、詳しく解説します。
今のお住まいや、これから購入する中古住宅のリフォームを検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
● 耐震リフォームが必要かどうかは、建築時期や耐震診断の結果によって判断できます。
● 耐震リフォームの方法は様々あるため、住宅1棟ごとに適した耐震プランを提案できる会社へ相談しましょう。
● 私たち“フォレストブレス”が、1934年創業以来木材会社として培った経験を活かし、自然素材にこだわった“あなただけの住まいづくり”をお手伝いします。
Contents
耐震改修が必要かどうかは「建築時期」と「耐震診断」が目安
耐震リフォーム(耐震改修)とは、既存の状態より耐震性を高めるための工事です。
ただし、全てのお住まいに耐震リフォームをする必要があるかというと、そうとも言い切れません。
建築士は、主に「建築時期」と「耐震診断の結果」を踏まえて、耐震リフォームの必要性を判断します。
建築時期
みなさんご存知の「建築基準法」は、国内で建物を建てる際に必ず守らなくてはいけない法律です。
地震大国である日本において、建築基準法の中で“耐震”に関する規定はとても重要とされています。
ここで、建築基準法における耐震基準の変遷について見てみましょう。
1950年 | 第二次世界大戦後に街並みを秩序立てて再建するために、建築物に関する基準が法律化される。
「急速な建物整備が目的で、耐震性は考慮されていなかった」 |
1981年 | 1978年の宮城沖大地震発生を機に、耐震に関する基準が大きく見直される。
「1981年6月1日以降に建築確認を受けた建物は“新耐震基準”が適用され、改正前の“旧耐震基準”建物から大きく耐震性能が向上した」 |
2000年 | 1995年の阪神・淡路大震災発生を機に、木造建築物の耐震性能がさらに強化される。
「2000年6月1日以降に建築確認を受けた建物は“2000年基準”が適応される」 |
建築時期によって「旧耐震基準」「新耐震基準」「2000年基準」のどれが適用されているかが分かります。
そのため、築40年を超える旧耐震基準の場合は、速やかな耐震リフォームが必要な可能性が高いでしょう。
耐震診断の結果
建築時期によって、設計時に想定されているであろう耐震性能は推測できます。
ただし、構造部の経年劣化や地盤沈下などによって、新築時の耐震強度から性能が低下している可能性は否めません。
そこで、現状の耐震強度を知るために用いられるのが、「耐震診断」です。
診断士が家の内外部の状態や、図面などの設計図書を確認し、どの程度の耐震強度があるか推測します。
診断結果では、地震に弱い部分や改善すべき点も分かるため、耐震リフォームを検討する際には、まず耐震診断を受けることが最善策です。
「耐震診断」の方法・チェック項目・診断費用は?
現状の耐震性能を知るために欠かせないのが「耐震診断」です。
建築時期がはっきり分からない場合や、リフォームで大きく間取り変更する場合でも、耐震診断を受けると、地震にどれほど耐えられるのか現状が把握できます。
では、最も多い木造在来軸組工法の住宅における一般診断(簡易診断)の主なチェック項目を見てみましょう。
一般診断(簡易診断)は、これらの項目を“非破壊”、つまり壁や床などを壊さずに目視します。
そのため、直接確認できなかった場合や図面などが残っていない場合は、最も条件が悪い状態であると想定して診断するのが一般的です。
集めた情報を診断ソフトへ入力すると、耐震性能を示す指標や、耐震壁のバランスが分かります。
求められた指標によって、「震度6〜7程度の地震に対する耐震性能」が推測できます。
- 1.5 ≦ 評価点 :「倒壊しない」
- 1.0 ≦ 評価点 < 1.5 :「一応倒壊しない」
- 0.7 ≦ 評価点< 1.0 :「倒壊する可能性がある」
- 評価点 < 0.7 :「倒壊する可能性が高い」
診断費用は建築会社によって異なりますが、壁や床を壊さない一般診断の場合で、40万円~50万円程度(延床面積が120㎡程度の場合)です。(参考:一般財団法人 日本耐震診断協会|耐震診断料金(費用)の目安)
壁の内部や床下をくまなく確認してより詳細な診断を行う場合は、診断費用はさらに高くなり、その上解体した部分の復旧工事費用がかかります。
そのため、詳細診断を受ける場合は、明らかに耐震面で問題があるであろう場合や、フルリノベーションすることが決まっている場合です。
ご自身で簡易的な耐震診断をしてみたい方は、【ホームズ君.com|2004年改訂版「誰でもできるわが家の耐震診断」】をお試しください。
10個の問いに答えるだけで、専門家に見てもらうべきかや、耐震リフォームの緊急性が分かります。
耐震リフォームの方法と費用目安は?
既存住宅は、診断結果を踏まえて耐震リフォームの必要性だけではなく、「どこに・どのような」工事を施せばいいかも分かります。
主な耐震リフォームの方法をそれぞれ紹介します。
屋根葺き替え工事
既存が日本瓦など「重い屋根材」の場合、それを金属葺きなど軽い屋根材に変えるだけで、地震への耐力が高まる可能性があります。
重い屋根材ですと、建物の重心が高くなり、地震や台風などの外力が加わった際に、横揺れが大きくなるからです。
屋根の軽量化は、生活しながらでも行えるため、まず取り組むべき方法と言っても間違いありません。
「120〜300万円程度」
(足場工事、既存屋根材の解体撤去処分、木下地工事、防水工事、新規屋根工事)
※屋根材や建物規模によって、金額が異なる可能性があります。
外壁サイディング張り替え工事
人気のサイディング外壁ですが、窯業系サイディング材の中には、重量が重く、建物へ大きな負荷となる可能性があります。
そのため、外壁をモルタル塗装仕上げや金属サイディングなどに変えて軽量化することで、荷重が減り、建物の耐震性能を高められるのです。
「200〜420万円程度」
(足場工事、既存外壁材の解体撤去処分、モルタル工事、塗装工事)
※新規外壁材や建物規模によって、金額が異なる可能性があります。
耐震壁の追加・既存間仕切り壁の補強工事
耐震診断の結果、既存の耐震壁(間仕切り壁の内、耐震性がある強固な部分)の面積が少なかったり、位置のバランスが悪いと分かると、移動・追加しなくてはいけません。
既存壁の仕上げを一度壊して、筋交(すじかい)を追加し、耐震力を高める方法も有効です。
“フォレストブレス”では、無垢材から作られた耐震パネル「ドンとパネル」を内壁に用いています。※ご予算に応じては通常の合板を使う場合もあります。ご了承ください。
- 室内間仕切り壁の耐震壁化:「25〜30万円/ 幅90cm」
- 外壁に面した壁の耐震壁化:「50〜65万円/ 幅90cm」
- 既存壁への筋交追加:「20〜30万円/ 幅90cm」
※別途、仕上げ工事や内装工事がかかります。
構造体接合部への補強金物追加
柱と梁や筋交、土台が接合している部分のつながりを強固にするために用いられるのが、補強金物です。
補強金物を設置すると、縦揺れを受けても接合部が抜け落ちず、耐震性が大きく向上します。
「2000年基準」が適用されている住宅は設置が義務付けられていますが、それ以前に建てられた住宅にはついていない場合がほとんどです。
住宅へ用いられる代表的な補強金物は、以下の3種類で、設置場所によって使い分けられます。
【ホールダウン金物・クレテック金物】
主に縦揺れの力が加わった際に、柱が土台や梁などの横架材から抜け落ちないように固定する金物
【筋交プレート】
主に横揺れの力が加わった際に、筋交が柱や土台から抜けないように固定する金物
【羽子板ボルト】
柱と梁、梁と桁のように、直角方向に交わる構造体同士の接続力を高めるための金物
「5〜7万円程度/ 箇所」
(壁や床の解体撤去処分・金具取り付け工事)
※仕上げの復旧工事や付帯工事が別途かかります。
基礎の補強工事
既存基礎に大きなクラックが入っていたり、鉄筋の入っていない基礎であったりする場合は、それをリフォームで補強できます。
主な工事は、既存基礎に炭素繊維シートを貼り付ける方法や、床下にコンクリートを流し込んで布基礎にする方法です。
- 既存基礎への炭素繊維シート貼り付け補強:「60〜100万円」
- 布基礎工事:「100〜150万円」
※炭素繊維シートを用いた工事は、比較的新しい方法なので、効果が立証できていないケースもあります。
※付帯する外構補修工事が別途かかる可能性もあります。
シロアリ被害や腐朽が見られる構造体の補修
柱や土台がシロアリ被害を受けていたり腐朽していたりすると、設計上想定した耐震性能を発揮できていない可能性が高いでしょう。
そのため、劣化している部位は取り替えなどが必要です。
※柱・土台など部位によって、費用は大きく異なるため、建築会社へ詳細をご確認ください
防蟻処理
シロアリの被害が進行していなくても、蟻道(ぎどう)と呼ばれるシロアリが通った形跡を見つけたら、速やかに駆除・予防の処理を依頼しましょう。
防蟻処理は、5〜10年に一度ほどの間隔で、定期的に行う必要があります。
「15〜30万円程度」
(床下への防蟻剤散布)
※散布するための穴を開ける工事や復旧工事が別途かかる可能性があります。
耐震リフォームの総費用目安
一般財団法人日本建築防災協会が行ったアンケート調査によると、木造戸建住宅にかかった耐震リフォームの費用は、「100~150万円」という方が最も多く、平屋建て住宅の平均値は「140万円」、2階建て住宅の平均値は「186万円」です。
(参考:一般財団法人日本建築防災協会|耐震改修の工事費目安)
建物形状や劣化度合いによって工事内容は異なりますが、耐震リフォームの費用目安として「150〜200万円」程度を想定しておくと良いでしょう。
フォレストブレスの耐震リフォームは、工業製品や化学物質を含んだ建築材料に頼らず、自然素材をできるだけ用いたプランを実現している点が特徴です。
お客様のご要望やご予算に合わせて、一棟一棟細かく改修方法を設計・施工スタッフで検討し、ご提案いたします。
耐震リフォーム時に利用できる補助金・減税制度
既存住宅の耐震性能を高めることは、国が取り組む「ストック住宅の活用」において、重要なポイントです。
そのため、国・自治体で補助金や減税制度を実施しています。
耐震リフォームを行う際は、これらの情報についても、必ず確認してください。
補助金
【こどもエコすまい支援事業】(※受付終了済み)
こちらは、省エネ・断熱リフォームを行なった上で耐震リフォームも行うと、補助金が支給されます。
既に申請金額が予算額に達したため、受付は終了していますが、来年度以降も同じような補助事業が行われることが予定されています。
そのため、リフォームをする際は、施工会社へ詳細を確認してください。
【長期優良住宅化リフォーム推進事業】(※受付終了済み)
こちらも既に本年度分は受付が終了していますが、来年度も再開が期待できます。
工事前に住宅診断(ホームインスペクション)を行い、省エネ・耐震リフォームを行って性能基準を満たすことで、補助金が支給されます。
【各自治体による補助事業】
各自治体では、簡易耐震診断の費用や、耐震リフォーム費用を補助する事業を行なっているところも少なくありません。
国土交通省の運営している「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト(令和5年度版)」で、補助制度のある自治体を検索できますので、ぜひご確認ください。
減税制度
所有している住宅へ耐震リフォームを行なった場合、条件を満たせば所得税と固定資産税(家屋分)の一部が控除されます。
補助金は、予算があるため、タイミングによって申請期限が過ぎていて利用できない可能性もありますが、減税制度は確定申告さえすれば、どなたでも対象となります。
対象要件は制度によって異なりますので、事前に詳細を確認しておきましょう。
まとめ
リフォームと聞くと、内装や設備機器のやりかえや、間取り変更をイメージするかもしれませんが、長く安心してその家に住み続けるためには、まず耐震性能など家の根幹を支えるポイントを見直しましょう。
建築時期によっては、現行の基準より大きく耐震性能が下回っている可能性もあります。
また、劣化状況によっては、新築時に設定された耐震力から大きく低下している恐れも否めません。
「地震に強い家にしたい」という方は、まずプロへ耐震診断してもらいましょう。
また、木造住宅の知識や施工実績が豊富な建築会社へ、最善の耐震プランを提案してもらうことも大切です。
私たち“フォレストブレス”は、1934年に製材所として創業して以来培った知識と経験を活かして、一棟ごとに耐震診断の結果を踏まえた最適の耐震リフォームプランをご提案。
“小さな家でコトを愉しむくらし”をコンセプトに、自然素材にこだわった事例を数多く手掛けています。
「できるだけ自然素材を使った耐震リフォームをしたい」という方は、お気軽にご相談ください。
「自然素材の家」へリフォームするなら茨城県石岡市のフォレストブレスへ
フォレストブレスは、「自然素材」と「あつらえ設計」にこだわった高品質な住宅を数多く手掛けています。
“本当に快適な家に住んでほしい”という想いから、家づくりに以下のものを使わないことをお約束します。
- ・化学物質を含む接着剤を使用した合板、集成材
- ・防蟻防腐剤注入土台・グラスウール
- ・ビニールクロス・廃棄時有害なもの
お客様の住まい方や個性、価値観に寄り添い、“あなただけの住まい”をご提案します。
「呼吸が深くなる家」それこそ私たちが追求する快適なマイホーム。
オーガニックな暮らしを実現したい方は、ぜひご相談を。
定期的に見学会などのイベントも開催しておりますので、ぜひ私たちの家づくりをご体感ください。