無垢材のデメリットと対策を“木材選びのプロ”が解説|床・壁・天井・カウンター部位別の注意点
様々なハウスメーカーや工務店が、「無垢材を使った家」をコンセプトに住宅を提供していますが、あまり知られていないのが無垢材の“デメリット”です。
弱点や欠点を知らずに採用すると、住み始めてから後悔するかもしれません。
そこで今回は、「無垢材」のデメリットとその対策を、長年木材を取り扱ってきた専門家が詳しく解説します。
床・壁・天井・カウンターなど、部位別に注意点を紹介しますので、これから家の新築やリノベーションを検討する方は、ぜひ参考にしてください。
●「無垢材」には、温もりある見た目や質感だけではなく、性能面や健康面、環境面においてもメリットがあります。
● 無垢材のお手入れ方法や経年変化を含めた“デメリット”を十分理解した上で、ご自宅へ採用することが重要です。
● 私たち“フォレストブレス”では、1934年創業以来木材会社として培った経験を活かし、自然素材にこだわった“あなただけの住まいづくり”をお手伝いしています。
Contents
無垢材を使う家のメリット
日本は世界でも有数の森林大国であり、その国土の2/3を森林が占めています。
森林の大半は建材や製紙原料を育てるための人工林であり、杉やヒノキが丁寧に育てられ、良質な木材が産出されているのです。(参考:林野庁|スギ・ヒノキ林に関するデータ)
そんな木材に恵まれた日本だからこそ、木造住宅や木材を用いた内装が根付いており、無垢材を住まいへ取り入れたい方は少なくありません。
なぜなら、「無垢材」にはいくつものメリットがあるからです。
- ●無垢材には細かい空隙があるため、空気中の湿気を吸収・放出する「調湿効果」がある
- ●熱伝導率(熱の伝えやすさ)が低いため、「断熱性が高い」
- ●細かい空隙によって「耐衝撃性」「吸音性」が期待できる
- ●紫外線・赤外線の「反射率が低い」ため、目への刺激が軽減される
- ●木の香り成分によって、「リラックス効果」や「消臭効果」、「防虫効果」がある
- ●製造過程でのCO2排出量や消費エネルギー量が少なく、リユースやリサイクルができるため「環境に優しい」
※無垢材のメリットをもっと詳しく知りたい方は「無垢材の家を後悔しないためのポイント|メリット・デメリットからメンテナンス・価格・経年変化まで」をご覧ください。
フォレストブレスは、1934年に「渡辺木材」として創業して以来、内装仕上げ材だけではなく構造材に至るまで、とことん無垢材にこだわって住まいづくりをしています。
無垢材にも弱点・欠点が|知っておくべきデメリット
メリットが主に注目される無垢材ですが、自然素材ならではの弱点や欠点もあります。
これらを知らずにご自宅へ採用すると、「後悔した」「やめておけばよかった」と感じてしまうかもしれません。
無垢材に囲まれた生活を送りたい方は、ぜひデメリットについても十分理解しておきましょう。
- ●品質にムラがある
- ●伸縮や反りなどの変形リスクが高い
- ●経年変化は避けられない
- ●カラーや木目が不均一
- ●設計施工には知識や技術が必要
では、それぞれ詳しく見てみましょう。
品質にムラがある
無垢材は自然由来の建築材料であり、あまり加工していないからこそ、温もりあるナチュラルな風合いが楽しめます。
ただし、それゆえに化学物質から作られる人工的な材料と比べると、どうしても品質にムラがあります。
そのため、建築会社の目利きによって仕上がりに差が出やすいということです。
つまり、無垢材を多く使う家を建てる際には、建築会社の実績を十分確認する必要があります。
変形リスクが高い
無垢材だけではなく、どんな物質も熱や水分、紫外線にさらされ続ければ、変質や変形を起こします。
無垢材は、その発生率が特に高いことは否めません。
なぜなら、伐採・加工された後にも、細胞レベルの空隙に水分を抱き込む特性があり、それによって湿度変化に伴い伸縮を繰り返すからです。
実際に、無垢フローリング材など板状の材料を並べて施工すると、湿潤環境の梅雨時期から乾燥する冬に変化する過程で、継ぎ目(目地)の幅が開いてきてしまうことは珍しくありません。
そのため、木材の特性を見抜き、ある程度の変形を想定した施工ができる建築会社を選ぶことがポイントです。
また、じっくりゆっくり自然乾燥もしくは低中温で人工乾燥された木は変形リスクが低いため、これらをしっかり見極められる会社であるかどうかもとても重要になります。
〈おすすめコラム〉
木材の含水率で住宅の強度が変わる?基礎知識から関連性まで解説
経年変化
ビニル系建材ももちろん日焼けによる変色が起こりますが、無垢材も例外ではありません。
樹種によって、まず色が濃くなってから段々と脱色していくものと、最初から色が薄くなっていくものがあります。
無垢材を日当たりの良い部屋の内装仕上げに採用する際は、どのような経年変化が起きるのか、事前に確認しておきましょう。
フローリングや壁の家具による部分的な変色が気になる方は、移動することがない備え付けの造作家具をおすすめします。
カラーや木目が不均一
無垢材の魅力は、ナチュラルな色合いや木目ですが、逆に言うと、全く同じ色・模様は存在しないということです。
そのため、すっきりとした無機質なインテリアが好きな方は、無垢材の採用をじっくりご検討ください。
樹種によって、木目が明瞭なものとそれほど目立たないものがありますので、いくつかの材料を比較してみるのもおすすめです。
知識や技術が必要
無垢材を美しく長持ちさせるためには、材料の選定からディテールの設計、きめ細かい施工に至るまで、十分な知識と技術が欠かせません。
そのため、材料さえ手に入れば、どこの会社でもきれいに仕上がるとは限らないのです。
特に無垢材へこだわりたい方は、その会社がどれほど「無垢材の家」の施工実績があるのか、たずねてみると良いでしょう。
フォレストブレスは、できるかぎり化学物質を含む人工的な材料を使わない“オーガニックな住宅”にこだわっていますので、無垢材やその他自然素材に関する疑問は、お気軽にお問い合わせください。
「手入れが大変」「コストが高い」って本当?
無垢材のデメリットについて調べると、「手入れが大変」「コストが高い」と言われているのを見かけますよね。
確かに、ガラスコーティングされたフローリング材などと比べれば、キズや汚れが付きやすいのは事実ですし、日焼けによる変色も起こります。
しかし、建築後数百年経っている神社仏閣はどうでしょう。
定期的に床材へオイル塗装やワックス塗りされているケースはほとんどないはずです。
つまり、キズや汚れ、変色は別として、お手入れしなくても十分長持ちするのが、「無垢材」の魅力なのです。
生活する上でついたキズや汚れを“その家の思い出・歴史”として捉えられれば、最強のメンテナンスフリー建材と言っても過言ではありません。
では、コストはどうでしょう。
内装仕上げ材にビニル系材料を使えば、短時間で広い面積を仕上げられますし、材料コストもリーズナブルです。
それに比べると、無垢材を施工するには時間も費用もかかります。
しかし、耐用年数を比べると、ビニル系材料が10年程度なのに対して、無垢材は40年以上もつ可能性は決して低くありません。
つまり、家がその寿命を全うするまでに数回内装リノベーションすることを考えると、長持ちする無垢材は“むしろ安い”と言えます。
フォレストブレスは、昭和15年創業の“渡辺木材”として培った独自のルートによって、通常の仕入れよりも高品質の木材を安価で仕入れることができます。
無垢材を取り入れる際の注意点|床・内壁・天井・カウンター・建具・外壁
無垢材のメリット・デメリットに加えて、採用する部位によって知っておいた方が良い注意点があります。
ご自身の生活スタイルや要望に合うかどうかをじっくり見極め、後悔のないマイホームを実現させましょう。
床(フローリング)
人気の内装材である無垢フローリング材ですが、表面を人工塗料で強化した床材と比べると、キズや汚れが付きやすい点は否めません。
ただし、表面に薄い木材を貼ってある突板フローリング材や挽板フローリング材とは異なり、浅いキズや汚れであれば研磨で補修しやすい点もポイントです。
また、後から着色塗装も可能なので、汚れが目立ったら濃い色を塗り重ねるのも良いでしょう。
もう一点気を付けなくてはいけないのが、床暖房との組み合わせです。
無垢材は断熱性が高いため、厚さによっては熱が表面まで伝わるのに時間がかかる可能性があるのです。
ところが、薄い床材ですと、熱で反ってしまう恐れもあります。
そのため、床暖房を採用する場所には、特殊な熱加工を加えた変形しにくい“床暖房対応”の無垢フローリング材を選びましょう。
また、熱や乾燥によって、一時的に目地が開いてしまう点も理解しておく必要があります。
〈おすすめコラム〉
「無垢の床を後悔した」失敗しないための10のポイントを木材のプロが解説
内壁・柱
ドアやスイッチ周りなどには、いくら気をつけていても、手垢などの皮脂汚れが付いてしまいます。
無垢材によってはエタノールなどで落とせる可能性もありますので、建築会社へ事前にお手入れ方法・お掃除方法を事前に確認しておきましょう。
手垢などの汚れがついて取れない場合は、色付きの蜜蝋ワックスやオイル塗装を施しておくのもおすすめです。
手の届く範囲に太い柱がある場合は、ヤニにも注意してください。
松・杉・ヒノキなどの針葉樹は、新築後数年はヤニが滲み出る可能性があります。
ただし、3〜4年も経てば収まりますので、それほど気にする必要はないでしょう。
天井
明るい色の杉材などを天井材に用いると、照明器具によっては「照明焼け」が目立つ可能性があります。
照明焼けとは、天井に張り付くように設置されたシーリングライトから起こる静電気によって、埃が引き寄せられて、器具の周囲が黒ずむ現象です。
照明焼けを防ぎたい方には、埋め込み式のダウンライトを採用するか、天井から器具が離れるペンダントライトをおすすめします。
〈おすすめコラム〉
“梁あらわし”天井のメリット・デメリットとは?気になる疑問を一挙解説
カウンター(テーブル天板)
ダイナミックな無垢の一枚板をカウンターやテーブルの天板に採用したい方も多いでしょう。
その場合、質感にこだわって無塗装を選ぶ方も少なくありません。
しかし、樹種によっては水ジミや油ジミが目立つものもあります。
特に、油分が少なく耐水性の低いホワイトウッドには要注意です。
食事を取るテーブル天板や、水ハネのリスクが高い洗面化粧台のカウンターなどには、耐水性の高い杉やヒノキ、ヒバ、クリなどの無垢材を採用しましょう。
シミがつくのを未然に防ぎたい方は、定期的に蜜蝋ワックスやオイルを塗装して、表面を保護するのもおすすめです。
建具(ドア)
フローリングや天井、造作家具などとトータルコーディネイトしやすい無垢材製の建具ですが、季節によって建て付けが悪くなる可能性があり、シート材で仕上げてあるドアよりも重い点には要注意です。
ただし、建て付けが悪くなっても削って調整しやすく、杉や桐などの軽い木材を採用すれば「重くて開閉が大変」ということは滅多にありません。
外壁
外壁、特に紫外線や雨風が直接当たる部分へ無垢材を採用する場合は、変色や変形が起こることは知っておきましょう。
外壁を板張り材にする場合は、できるだけ変形リスクの少ない材料を選ぶことと、どのような経年変化が現れるのかを事前に確認することがとても重要です。
また、樹種や施工部位によっては、過乾燥による割れやささくれ、虫食い、雨や雪、紫外線の影響を軽減するために、適切な保護塗装が必要な場合もあります。
〈おすすめコラム〉
外壁が板張りの家|木材の種類、メリット・デメリット、費用など解説
無垢材の家に住んでみた方の感想
フォレストブレスでは、これまで数多くの無垢材を使った家を手がけてきた実績があります。
そこで、実際に無垢材の家に住んでいる方の感想を紹介します。
つくば市S様
無垢材を内装に採用したことで、匂いがこもらず、冬から初夏にかけて湿度感が一定です。
以前の住み心地を知っているからこそ、変化がよく分かります。
脱衣場とトイレに使用した「さわら」の木の香りが心地よく、最高です。
無垢材の調湿性と香り効果、消臭効果によって、湿気や臭いが気になる場所も、清々しい空間に満たされます。
水戸市E様
一番は無垢フローリングの心地よさです。
夏はペタペタせず快適ですし、冬も底冷えしません。
優しい足触りが気持ちよく基本的には裸足の生活です。
そして木材や壁材の調湿効果は予想以上でした。
蒸し暑くても風がある日は窓を開ければ心地よい風が抜けていきますし、クーラーの温度もそこまで下げなくても快適です。
人工的な床材は、いくら暖房を付けても表面温度が低くなりがちですが、無垢材は蓄熱性も高いため、冬場でも裸足で快適に過ごせます。
つくば市D様
化学物質が苦手で、また住み心地もよさそうな自然素材の家を建てたいと思っていました。
一年を通して、とても快適に過ごしています。
外気温の寒暖の変化を室内では軽減できて、夏涼しく冬暖かいです。
特に、冬場の結露が全くない点が驚きでした。
今の家に引っ越して、体調も良くなってきています。
家族全員、快適に過ごしています。
私たちフォレストブレスの元には、化学物質過敏症やシックハウス症候群でお悩みの方からの言葉も届いてきます。
自然素材でそれらの症状を100%解消できるとは言い切れませんが、効果を実感している方がいるのも事実です。
無垢材を取り入れる際には産地・樹種にもこだわりましょう
無垢材を取り入れるのなら、その品質や産地にもとことんこだわりましょう。
フォレストブレスがおすすめするのは、国内で生育した「国産材」。
歴史の長い林業による高い品質と、美しい木目が特徴です。
「国産材は高いのでは」と思う方もいるかもしれませんが、家を1棟建てるのに国産材と輸入材を使った場合で比べても、その差はたった数十万円程度です。
国産材にこだわることで、自治体から補助金をもらえる可能性もありますので、国産無垢材を住まいへ取り入れる際は、役所や建築会社へ詳細を確認してください。
(例:茨城県|いばらき木づかいチャレンジ(木材住宅支援)事業)
フォレストブレスでは“国産材”、その中でも乾燥方法にまでこだわって材料を選定しています。
部位によって“適材適所”に樹種を使い分けられることこそ、前身が木材会社であり木を知り尽くしている“フォレストブレス”の強みです。
〈おすすめコラム〉
国産木材で住宅を建てるメリット・デメリット|国産材は本当に価格が高い?
まとめ
無垢材には、調湿性や断熱性、省エネ性などいくつものメリットがありますが、採用する際に知っておくべき点は、むしろ「デメリット」です。
経年変化やお手入れ方法を知らずに採用して、後悔する方も少なくありません。
そのため、木の特性を知り尽くし、それを十分説明できる建築会社を選ぶことが重要です。
私たち“フォレストブレス”は、1934年に木材会社として創業して以来培った知識と経験を活かして、自然素材にとことんこだわった家づくりを行っています。
“小さな家でコトを愉しむくらし”をコンセプトに、無垢材を取り入れた事例も数多く手がけていますので、お気軽にご相談ください。
「自然素材」にこだわった家の新築・リノベーションは茨城県石岡市のフォレストブレスへ
フォレストブレスは、「自然素材」と「あつらえ設計」にこだわった高品質な住宅を数多く手掛けています。
“本当に快適な家に住んでほしい”という想いから、家づくりに以下のものを使わないことをお約束します。
- ・化学物質を含む接着剤を使用した合板、集成材
- ・防蟻防腐剤注入土台・グラスウール
- ・ビニールクロス、廃棄時有害なもの
お客様の住まい方や個性、価値観に寄り添い、“あなただけの住まい”をご提案します。
「呼吸が深くなる家」それこそ私たちが追求する快適なマイホーム。
オーガニックな暮らしを実現したい方は、ぜひご相談を。
定期的に見学会などのイベントも開催しておりますので、私たちの家づくりをご体感ください。