焼杉の外壁で後悔することはある?|メリット・耐用年数、施工事例などを紹介
焼杉の外壁は、独特の美しさ、意匠性の高さはもちろん、耐久性の良さ調湿効果など様々なメリットがあり、多くの人を魅了します。
ただし、焼杉の外壁には、いくつかのデメリットがあり、場合によっては「こんなはずじゃなかった」と後悔することもあるので注意が必要です。
事前にデメリットを把握し、対策を講じることで後悔しない焼杉の外壁の家を実現しましょう。
今回は、焼杉の外壁を含んだ自然素材を使った家づくりが得意な"フォレストブレス”が焼杉の外壁のメリット・デメリットなどをくわしく紹介します。
・焼杉の外壁で後悔する理由を紹介します。
・高い意匠性だけでなく、耐久性、機能性にも優れていることが焼杉の外壁のメリットです。
・焼杉の外壁を取り入れた施工事例を紹介します。
焼杉の外壁とは
焼杉の外壁とは、無垢の杉板を焼いて炭化させた焼杉を外壁として採用したもので、日本では西日本エリアを中心に家づくりの伝統的な工法として採用されてきました。
焼杉の製造方法には手作業で焼く「三角焼き」と工場でバーナーにより焼く「バーナー焼き」がありまますので、ここでは両者の違いを解説します。
三角焼き
三角焼きとは、杉板3枚を三角柱状に固定して表面を焼く方法です。
日本古来から採用されている焼杉のつくり方で、以下のようなメリット・デメリットがあります。
【メリット】
- ・炭化層の厚みが厚くなるため、耐久性が高い
- ・重厚感がある
【デメリット】
- ・職人の高い技術力が必要
- ・時間がかかる
特に、バーナー焼きと比較すると、しっかりとした厚みのある炭化層をつくれるため、耐久性の向上と重厚感のある風合いになることが三角焼きを採用するメリットです。
バーナー焼き
バーナー焼きは、工場で杉板の表面を焼くつくり方のことを指し、以下のようなメリット・デメリットがあります。
【メリット】
- ・加工性に優れている
- ・大量生産が可能
【デメリット】
- ・三角焼きと比べ、炭化層が薄くなる
- ・三角焼きと比べ耐久性が劣る
バナー焼きは、炭化層が薄くなることで、耐久性や意匠性において三角焼きに劣る反面、加工性が優れていることで三角焼きでは難しい加工も可能です。
焼杉の外壁で後悔する理由
焼杉の外壁を取り入れて後悔する理由は、以下のとおりです。
焼杉の外壁に触れると汚れる
基本的に焼杉は炭なので、「触れると手が汚れる」「寄りかかったら服が汚れる」などのリスクがあります。
特に、小さなお子様がいらっしゃるご家庭は、注意が必要です。
後悔しないためにも、以下のような工夫をしましょう。
- ・人通りが多い場所は焼杉以外の素材を採用する
- ・洗濯物を干すときは、外壁から距離を離す
洗濯物を干す際には、風が吹いた場合に洗濯物が外壁に触れて汚れることもあるので注意しましょう。
経年変化がある
立地条件、気象条件などにもよりますが、焼杉は、経年と供に以下のような変化があるため、「色が変わった」と後悔することがあります。
- ・色が褪せて白っぽくなる
- ・炭化した表面が部分的に剥がれ落ちる
焼杉だけではなく、自然素材には経年変化があります。
人間が年を重ねるのと同じように、経年変化を趣として受け入れるようにしましょう。
以下の記事では、無垢床の経年変化について紹介していますのでぜひごらんください!
>無垢床は10年後の経年変化を楽しめる|メリット・デメリット、20年後も美しい無垢床にするためのポイントを解説
地域によって制限がある
「いざ、焼杉を取り入れようと思っていたけど、家を建てる地域の法令上の規制により焼杉を採用できなかった」と後悔することがあります。
特に、市街地(準防火地域や法22条区域)においては、焼杉の使用に制限がかかる可能性が高いです。
ただし、焼杉を外側の化粧材として使用し、防火性能の高い下地をつくることで制限地域内でも焼杉を使用できるケースもありますので、施工業者に相談しましょう。
焼杉の外壁を取り入れるメリット
焼杉の外壁には、以下のようなメリットがあります。
デザイン性はもちろん、機能性にも優れているのが、焼杉の特徴です。
重厚感のある高い意匠性
焼杉は、黒いシックな外観になるため、重厚感のある雰囲気になりますし、杉板表面の凹凸は味わい深い表情が素敵です。
さらに、木目の風合い、経年変化など工業製品では出すことができない自然素材ならではの唯一無二の意匠性は、焼杉の大きなメリットです。
木材の中では耐火性に優れている
焼杉は、既に炭化しているため、通常の木材と比べ着火しにくく、万が一、火災が起きても火が回りにくい特徴があります。
ただし、木材であるため、他の建材よりも耐火性が優れているとは言えず、準防火地域では採用できないこともあるので事前の下調べが必要です。
費用対効果が高い
焼杉は、他の建材と比較すると安価な傾向がありますが、その耐久性は高く、メンテナンスも頻繁には必要ないため、費用対効果が高い建材です。
また、何かしらの不具合があった場合でも一枚から張替え可能ですから、維持管理に対する費用があまりかからないことも魅力的です。
調湿性能がある
木材特有の調湿性能も焼杉を外壁に採用するメリットの1つです。
湿度が高くなると杉板が湿気を吸湿し、湿度が低くなると放湿することで結露防止効果に期待できます。
自然素材の調湿性能については、以下の記事でもくわしく紹介していますので、ぜひごらんください。
防虫・防腐効果がある
炭化により、防虫効果・防腐効果が得られることも焼杉の外壁のメリットです。
シロアリや一般的な虫に対し、炭化層が虫を寄せ付けない役割をすると同時に、木材が腐りにくくなることでシロアリが好まない環境を築きやすい特徴があります。
断熱性に優れている
ガルバリウム鋼板と比べて、熱伝導率が低い焼杉は夏場の日差しを受けても熱くならない特徴があります。
焼杉の外壁を取り入れた施工事例を紹介
実際に、焼杉の外壁を取り入れた施工事例を見てみましょう。
焼杉の外壁を前面に施工したナチュラルモダンな家の施工事例
こちらは、焼杉の外壁を前面に施工したナチュラルモダンな家の施工事例です。
焼杉をたっぷりと使用した外観デザインは、モダンでありながら、温かみのある独特な雰囲気に仕上がりました。
<施工事例>焼杉の外壁と薪ストーブの家
工業製品では出せない焼杉の凹凸や木目の表情が魅力的です。
その他にも羊毛断熱、シラス壁、茨城県産の木材など自然素材にこだわった家づくりを実現しました。
<施工事例>焼杉の外壁と薪ストーブの家
焼杉の外壁についてのQ&A
焼杉の耐用年数はどれくらいですか?
一般的に、耐久性が高いと言われている焼杉の耐用年数は、立地条件、気象条件などにもよりますので一概には言えません。
また、炭化層の厚みのように焼杉のグレードによっても異なりますが、炭化層の厚みがある焼杉板は50年以上もつと言われています。
焼杉の外壁はどのくらいで劣化しますか?
立地条件にもよりますが、一般的に5年経過すると徐々に色褪せが起こる可能性があります。
もちろん、焼杉自体は耐久性が高く、50年以上使用できることが多いですが、長持ちさせるためには塗装を検討することも必要です。
焼杉の外壁の塗装は、天然素材塗料のような伸縮性のある塗料を選ぶようにしましょう。
焼杉の外壁とガルバリウム、サイディングの違いは?
一般的な外壁材としてガルバリウム、サイディングがありますが以下のような違いがあります。
費用 | 耐久性 | 重量 | |
---|---|---|---|
焼杉 | × | 〇 | 軽い |
ガルバリウム | △ | ◎ | 軽い |
サイディング | 〇 | ◎ | 重い |
一般的に「焼杉を施工できる大工が少ない」ことから他の素材と比べ、焼杉の施工費用は高額になりがちですが、焼杉は耐久性が高く、メンテナンス費用を抑えられるため、費用対効果は高いです。
焼杉の外壁は、縦張りと横張りどちらが長持ちしますか?
焼杉の外壁を長持ちさせるためには、水分が溜まりにくく乾きやすい環境をつくることが大切です。
一般的には、縦張りの方が水はけがよく、板への浸水を防ぐことができるので耐久性だけを考えるのであれば、縦張りがおすすめです。
ただし、定期的な防水処理やメンテナンスができるのであれば、横張りでも長持ちさせることは可能です。
デザイン性、耐久性など優先順位を決めて検討しましょう。
まとめ
今回は、焼杉の外壁で後悔する理由やメリット・デメリットなどを紹介しました。
焼杉の外壁は、高い意匠性と機能性・耐久性を兼ね揃えた優れた外壁材ですが、「触れると汚れる」「経年変化」などデメリットもあります。
焼杉の外壁にして後悔しないためにも、今回紹介した情報を参考にしていただき、メリット・デメリットを把握したうえで検討するようにしていただければ幸いです。
私たち"フォレストブレス”は、1934年に製材所として創業して以来培った知識と経験を活かして、快適で健康的な暮らしが実現できる住まいをご提案しております。
木材のプロとして、自然素材にこだわった事例を数多く手掛けていますので、お気軽にご相談ください。