木の外壁について
多くの住宅業者さんが窯業系サイディングを使う中、
木の外壁を検討される方は極少数かとは思いますが
木の外壁にもたくさんの良さがあります。
メリット・デメリット、使用する時の注意点などを書いてみましたので
木の外壁に興味がある方は是非ご一読を。
まずは事例から。
1階部分が落葉松(から松)縦張りの外壁
外壁材の厚みは15ミリです。
1階部分が焼いた杉の外壁厚みは20ミリです。
まずはメリットです。
1.廃版がない
2.施方法によって交換が簡単
3.メンテナンスフリー
4.樹種や施工によって丈夫で長持ち
5.樹種や加工・製品によって価格が抑えられる
6.経年美が楽しめる
もっとあるかも知れませんね。
では解説です。
1.廃版がない
特殊な加工や塗装されている工業製品のようなものを使わない限り、同じものが入手できます。
なので20年後、増築した時でも同じ外壁が張れるのです。
ハウスメーカーなどでよく使われている窯業系サイディングは2~3年で廃版になるものも多く
気を付けたいものです。
2.施方法によって交換が簡単
施工方法によって簡単に、しかも部分的な交換が可能です。
その施工方法は縦張りにして板どうしを突き付けに張り、
突き付けた部分に上から押し縁(目板)を打ち付けるという簡単な施工法です。
実(さね)加工したものだと部分交換が難しくなります。
また、南面は強い日差し、風雨により乾燥収縮が激しく実(さね)が外れる可能性があります。
凸部分が押し縁(目板)
3.メンテナンスフリー
よく木の外壁のメンテナンスについて論じられますが、
私は木の外壁は適材適所が求められますがメンテナンスフリーだと思っています。
昔の日本家屋は木が外壁として多く使われてきました。
平屋建てが多く軒が深いので木の外壁でも長い間使用できたのだと思いますが、
木の部分に塗装するとか、後から再塗装したという話は殆ど聞きません。
私の自宅にある昭和9年頃建てられた家も木の部分がありますが何もしていません。
性能的にはほぼ担保しています。
見づらは黒く変色していますがそれを味わい深いと考えると何も問題ありません。
昭和9年頃建てられた住宅の木の外壁。
杉板の横張りですが厚み約7ミリ程しかありません。塗装もなく約80年もっています!
こちらも杉板ですが縦張りです。こちも厚みは約7ミリ程です。
押し縁も約7ミリ。薄いですね~。でももっています。
こちらは築60年以上は経っています。
4.樹種や施工によって丈夫で長持ち
樹種や施工方法はよく検討して使うべきです。
樹種はもちろん湿気に強い木を選択するべきです。
国産材ではから松、ヒノキ(赤身部分)、杉、サワラ(赤身部分)あたりでしょう。
予算があれば栗などもよいですがあまり現実的ではなさそうです。
屋根の軒を深くとり、上記の材を縦張りに施工すると塗装なしでも長持ちします。
もちろん、雨染みや紫外線で日焼けし、経年変化はします。
それについては6の経年美が楽しめるで解説します。
フォレストブレスで定番となっている施工方法は
板同士を突き付けてその上から押し縁(目板)でふさぐやり方でステンレスビスで頭から施工します。
そうすることによって部分張替や増築などに簡単に対処できます。
5.樹種や加工・製品によって価格が抑えられる
木の外壁のコストは先に述べた施工方法でスギやカラマツなら窯業系SDより安く施工できます。(弊社の場合)
ただ、建物形状、施工する工務店や大工によりますので一概には言えません。
6.経年美が楽しめる
経年美(けいねんび)は造語ですが木が紫外線や風雨にさらされ段々とグレーっぽい色になり最終的には黒くなっていきます。
古民家などの木の部分がそうなっていますね。
人工的な塗装をしてしまうといずれは剥がれたり、退色してしまいます。
長いスパンで考えると自然に任せて経年変化させた方が味わい深く美しいのではないか?ということで「経年美」です。
カラマツなどは初めはオレンジ色っぽくポップな感じがします。
建てたばかりの世代ともマッチするような気がします。
そして年を増すごとに段々と渋くグレーになり建て主さんと共に年を重ねていくという具合です。
経年変化による風合いがよいかどうかは個人の感じ方によるところですがいかがでしょうか?
次回はデメリットについてです。