「無垢の床を後悔した」失敗しないための10のポイントを木材のプロが解説
ナチュラルな住まいにしたい方や、トレンドのラスティックなインテリアをイメージする方にとって、欠かせない材料が「無垢床材」。
最近は、様々な樹種の板材がフローリング材に加工され、施工されています。
しかし、残念なことに、いざ住み始めてから後悔してしまう方も少なくありません。
その原因は、ずばり「無垢床材の特性をしっかり理解していなかったから」。
そこで、今回は無垢床材について、メリットだけではなくデメリットや注意点についてまで、木材を知り尽くしたプロが詳しく解説します。
新築住宅のインテリアをご検討中の方や、お住まいをリノベーションしたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
●天然素材ならではの注意点もあるため、それらを十分理解してご自宅へ採用しましょう。
●私たち“フォレストブレス”が、1934年創業以来木材会社として培った知識と経験を活かし、自然素材にこだわった“あなただけの住まいづくり”をお手伝いします。
Contents
無垢床材のメリットは?
無垢材とは、天然の樹木から切り出された材料を指し、建築材料の他、家具やその他木製品に使われます。
人の手を加えすぎないため、まさに自然そのものを感じられる材料として多くの方からの人気が高いです。
特に住宅においてはフローリング材として取り入れられるケースが多く、関連の情報誌やサイトを見てみると「無垢床材」をメインコンセプトやセールスポイントにしている事例は少なくありません。
では、なぜこれほどまでに無垢床材は人気なのでしょうか?
ランダムで表情豊かな木目
木目は、同じ環境下で育った同じ樹種であっても、世界に二つとして同じ柄はないとされています。
一本の木から切り出した無垢材を使っても、木目の方向や切り出した場所によって、私たちの目にする模様は異なるのです。
そのため、人工的に作られた木目調のパターンと比べても、表情豊かでまさに“世界にたったひとつの”雰囲気を作り出せます。
独特な触り心地・温もり
天然木独特の固すぎず柔らかすぎないその質感や、吸い付くような触り心地は、他の人工的な材料ではなかなか再現できません。
また、木は無数の空気を含んだ細胞で構成されているため、コンクリートや金属、ビニール系床材と比べても断熱性に優れています。
真冬でも足から冷気が伝わりづらいため、素足で家の中を過ごしたい方にもおすすめです。
(引用:林野庁)
調湿機能がある
生息している樹木は、多くの水分を含んでおり含水率は150%以上にまで達します。
その木を伐採し、建築材料として使うには、最低でも30%程度にまで乾燥させるため、木材は空気中の湿気を多く抱え込むことができます。
また、逆に乾燥している季節には一度吸収した水分を空気中に放出することもでき、まさに天然の調湿材としての機能を果たせるのです。
そのため、室内の広範囲に無垢床材を施工すると、高い調湿効果が期待できます。
(引用:林野庁)
合板フローリングのように化学物質を使っていない
表面が無垢材のフローリングであっても、 100%無垢材からできているとは限りません。
実は、表面のみ無垢材でその下は合板である商品も一般的に使われているのです。
- ・無垢材を2〜4mmにスライスした挽板と呼ばれる材料に合板を貼り付けた挽板フローリング
- ・無垢材を0.3mm程度にスライスした突板と呼ばれる材料に合板を貼り合わせた突板フローリング
挽板フローリング・突板フローリングの基材として使われている合板には、JAS(日本農林規格)で定められた「フェノール樹脂接着剤」や、「メラミン樹脂接着剤」、「ユリア樹脂接着剤」などが使われています。
もちろん、全て人体に影響がないとされているものですが、アレルギー体質の方や小さいお子さんにとっては“絶対に安全”とは言い切れず、合板が原因で健康不良を感じたケースも報告されています。
建築材料に表記されている化学物質の拡散量が少ないことを示すF☆☆☆☆(エフ・フォースター)も、ホルムアルデヒドなど特定の成分だけが審査対象であり、その他の物質がシックハウス症候群の原因となる可能性も否定できないのです。
そのため、ご家族の健康を守るために無垢床材を選ぶ方も少なくありません。
私たち“フォレストブレス”は、住まいに以下の材料は使いません。
- 化学物質を含む接着剤を使用した合板、集成材
- 防蟻防腐剤注入土台・グラスウール
- ビニールクロス・廃棄時有害なもの
「呼吸が深くなる家」を目指して、お客さまに快適なオーガニック住宅をご提供しています。
無垢の床を後悔しないために知っておくべき10のポイントとその対策
嬉しいメリットの多い無垢床材ですが、天然素材ならではの注意点があることも事実です。
残念ながら、それらを知らずにご自宅へ採用し、後悔してしまう方も少なくありません。
そこで、木材を取り扱うプロとして、特に知っておいてほしい10のポイントを紹介します。
「価格は少し高め」
100%天然木材から作られる無垢床材は、量産型の合板を用いたフローリングや、木目をプリントで再現したビニール系床材と比べると、どうしても材料コストは高めです。
また、施工にも手間がかかり、1日に施工できる面積も少ないため、施工コストも高くなりがちです。
お客様にあ得られるメリットとコストを天秤にかけ、多くの方に無垢床材をお選びいただいています。
「キズや汚れはつきやすい」
合板フローリングの中には、表面に「耐キズ加工」や「耐汚加工」を施しているものがスタンダードになりつつあり、それらは日常生活を送っているだけであれば、目立ったキズや汚れが付くことがほとんどありません。
一方、無垢床材は表面を保護塗装するものの、その目的は乾燥防止であって耐キズ・耐汚ではありません。
そのため、当然のことながらどうしてもキズ・汚れが全く付かないように生活することは難しいでしょう。
ただし、多少のキズは研磨して落とすこともできますし、汚れも上から塗装して目立たせないようにすることもできます。
挽板フローリング・突板フローリングですと、基材の合板にまで及ぶ深いキズを分からなくなるように補修することはできません。
つまり、長い目で見ると無垢床材を選ぶことは決して損ではないということです。
「乾燥時期には隙間が開く」
無垢床材の含水率は一年を通して多少上下するものの、だいたい 10〜14%を行き来していると言われています。
しかし、空気中の湿気で床材の含水率が上がると、その分膨張は避けられません。
例えば、施工時期が梅雨など多湿の季節に膨張した状態で施工した後、冬に乾燥して含水率が下がると、床材が微妙に収縮し、継ぎ目に隙間が開く可能性があります。
この隙間が気になるという方もいますが、隙間がなければ材料が膨張した際に床材同士が押し合って変形してしまう恐れがあるため、無垢床材には欠かせないものとして受け入れましょう。
「木割れを起こす可能性がある」
湿気の多い状態から急激に乾燥して伸縮すると、その部分に亀裂が生まれて木割れしてしまうケースもあります。
特に直射日光が長時間当たる窓辺などはそのリスクが高いため、表面保護のためにオイル塗装などをするのがおすすめです。
また、しっかり乾燥した良質な木材から作られた床材を選ぶこともポイント。
そのためには、無垢材の良し悪しを見極められる施工会社へ相談することが重要と言えるでしょう。
「床鳴りは避けられない」
先ほどもお話しした通り、無垢床材は伸縮を繰り返します。
そのため、せりあった床材が歩くたびに擦れて床鳴りが起こることがあります。
しかし、このような原因の床鳴りは季節的なものであるため、放置しても大丈夫です。
湿度の変化による一時的なものなので、再び鳴らなくなる可能性が高いでしょう。
一方、床材と土台が剥がれていたり、床下の木材はシロアリ被害を受けたり腐朽していたりしても床鳴りが起こります。
一過性の床鳴りか深刻な床鳴りかの判断は難しいため、気になる方は専門家へ一度診てもらってください。
「色味・木目がランダム」
自然でランダムな木目や色ムラが無垢床材の魅力ですが、場合によってはそれが気になるという方もいらっしゃいます。
樹種や製造時期が同じでも、色味や木目、節の有無が異なる場合があるため、全体的にムラのない仕上がりにしたい方は注意しましょう。
また、サンプルと実物の雰囲気が多少違うことも珍しくないため、材料選びをする際はあまり神経質になりすぎずに、雰囲気を確認する程度に止めることがポイントです。
ランダムな色味の床材をバランスよく施工していくのも、施工会社の腕の見せ所。
違和感が出ないように、材料を細かく見て、張る順番を決めます。
この点が、カラーや木目が単調なフローリングを施工する場合との大きな違いです。
「水に弱い」
表面がコーティング加工されているフローリングとは異なり、無垢床材には耐水性はほぼありません。
そのため、水をこぼせば表面が波打ったり、シミがついてしまったりします。
また、継ぎ手の隙間から水が内部に入れば、端が木割れを起こしたり膨れなりしてしまうかもしれません。
できるだけ速やかに拭き取りましょう。
水分によって変形・変質してしまったりシミがついてしまった場合は、ご自身で直そうとはせず、まずはプロに相談してください。
「経年変化が現れやすい」
無垢材は経年による変化が現れやすい材料です。
例えば、日焼けすると、樹種によっては白っぽくなるものもありますし、逆に黄色や茶色へと変色するものもあります。
また、木材が本来持っている油分によって段々と艶が増してくるものや、木目が薄くなっていったり濃くなっていったりする樹種も少なくありません。
これらの経年変化をネガティブに捉えるのもポジティブに捉えるのも、住む方の考え方次第です。
「床暖房と組み合わせられる床材が限られる」
床材に直接暖気が伝わる床暖房は、あまり無垢材との相性が良くありません。
なぜなら、何度もお伝えしている通り、無垢材は湿度によって変形しやすいからです。
一部の無垢床材は、高温処理によって寸法安定性を高めたものもあり、「床暖房対応」となっていますが、高温式の人工乾燥では急速に水分が蒸発するため、 まるで電子レンジで温められたかのように油分が少なくなり、艶のないくすんだ色になってしまいますので注意しましょう。
「お手入れ・メンテナンスが大変と思われがち」
無垢床材について調べていると、必ず「メンテナンスやお手入れが大変」という情報を見つけるでしょう。
間違いではありませんが、木材を知る私たちからすると少々違う点があります。
確かに“メンテナンスフリー”と謳われた合板を用いたフローリング材と比べれば、お手入れやメンテナンスに少々手間がかかるかもしれません。
しかし実は、無垢床材の多くは日常的な掃除機による掃除と、月一度程度の固く絞った雑巾掛け程度で十分。
お客様によっては定期的に蜜蝋ワックスがけやオイル塗装をする方もいらっしゃいますが、それらは必須ではなく、床材の光沢を保つことなどが目的です。
つまり、お手入れ・メンテナンスは住む方の考え方によって頻度や方法が異なり、自然素材である無垢床材は捉え方次第でメンテナンスフリーにもできると言っても過言ではありません。
私たち“フォレストブレス”では、無垢材を多く取り扱っている専門家として、施工後のお手入れやメンテナンスについてもアドバイスさせていただきます。
「無垢材を使いたいけどお手入れは楽にしたい」そんな方は、ぜひ一度お問合せください。
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無垢の床はこんな方におすすめです
無垢材は、天然素材であるが故に、少々扱いづらく季節によって注意点があるのも事実です。
しかし、デメリットが気にならないほど魅力があることを忘れてはいけません。
無垢床材はこんな方におすすめです。
- 「自然素材に囲まれて快適な生活を送りたい方」
- 「ナチュラルな雰囲気が好きな方」
- 「子供・ペットも安心し住める家にしたい方」
- 「木材利用を通して環境問題解決に貢献したい方」
- 「経年変化も味わいとして楽しめる方」
無垢材の持つ調湿性によって、室内湿度が一定に保たれるため、加湿器・除湿器に頼らずとも、快適な室内環境を保てます。
また機能面だけではなく、そのナチュラルなデザインも魅力のうちの一つ。
人工的に作られたのではない自然界が生み出した木目や色味は、トレンドに左右されない普遍的な美しさを感じさせます。
化学物質を含んだ接着剤や塗料を使っていない点もポイントです。
化学物質に敏感な方はもちろん、アレルギーやシックハウス症候群の発症が心配な方にも無垢床材はおすすめです。
そして、環境面でもメリットも忘れてはいけません。
「無垢材を使う=森を伐採する=環境破壊」というイメージを持つ方もいますが、実はその逆で、森の木々を伐採し木材として使い、また植林する、この森林サイクルこそ森の活性化に繋がります。
そのため、無垢材を多く住宅に取り入れることは、環境問題解決に貢献していることになるのです。
無垢材の経年変化や生活しているうちについたキズ・汚れを、味わい、家族の歴史としてポジティブに受け取れる方にこそ、無垢床材を強くおすすめします。
まとめ
無垢床材は調湿性やナチュラルな風合いが魅力ですが、どうしても無視できないデメリットや注意点があります。
これらを知らずにご自宅へ取り入れてしまうと、「こんなはずじゃなかった」と後悔してしまうかもしれません。
無垢床材を検討している方は、今一度ご自身の生活スタイルやお好みと合っているかを確認してください。
「どんな無垢床材を選べばいいか分からない」
そんな方は、ぜひ私たち“フォレストブレス”へご相談ください。
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