木材の含水率で住宅の強度が変わる?基礎知識から関連性まで解説
皆さんは、木造住宅の強度を左右するポイントは何か知っていますか?
「強固で高品質な構造体」「耐震性に配慮した設計」「確かな施工技術」これらを挙げる方が多いでしょう。
もちろん、どれも家を丈夫にするために欠かせません。
ただし、これらの他にも忘れてはいけないポイントがあります。
それが、「木造の含水率」です。
今回は木材の含水率について、基礎知識から住宅強度との関連性、乾燥方法の種類や基準まで、丸ごと紹介します。
「丈夫なマイホームを建てたい」という方は、ぜひ参考にしてください。
●家の強度を高めたい場合には、木材の含水率や乾燥方法にもこだわる必要があります。
●私たち“フォレストブレス”が、1934年創業以来、製材所として培った知識と経験を活かし、自然素材にこだわった“あなただけの住まいづくり”をお手伝いします。
木材の含水率とは?
「含水率」という言葉は、あまり日常で聞きなれない言葉かもしれません。
どのくらいの水分が含まれているのかを表す数値で、以下のように求められます。
含水率(%)=(水分をたっぷり含んだ状態の木材重量 − 水分を全く含まない状態の木材重量)÷ 水分を全く含まない状態の木材重量 × 100
樹木は、伐採したばかりの状態から木材として実際に建物などに使われる状態まで、含水率が変化します。
では、変化の過程を見てみましょう。
森などに生息している状態で、木の細胞が自由水(分子が自由に動き回り凍結や気化できる水)と結合水(たんぱく質などと水素結合し凍結や気化などしない水)で満たされた状態です。
〈含水率100〜200%〉
樹木が伐採された直後で、細胞中の自由水が徐々に乾燥し始めた状態です。
〈含水率60〜150%〉
伐採した木を放置し、自由水が全て乾燥し、結合水のみが残っている状態です。
ここから結合水が乾燥していくにつれて強度が増していきます。
〈含水率30%程度〉
さらに自然乾燥もしくか機械乾燥させ、結合水の乾燥が進み、空気の湿度と平衡している状態です。
〈含水率15%程度(季節や地域によって変動あり)〉
結合水のほとんどが乾燥した状態で、これ以降は乾燥による重量の変化はありません。
ただし、放置すれば徐々に気乾状態にまで戻ってしまいます。
〈含水率ほぼ0%程度(一時的)〉
このように、木材の含水率といっても状態によってその割合は異なります。
そのため、建築やその他木製品に活用する場合には、それぞれに適した含水率の材料を選ばなくてはいけません。
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木材の含水率と強度の関係は?乾燥方法の種類は?
日本は世界でも有数の森林大国であり、その国土の2/3以上・約7割が森林という特殊な環境にあります。
特に多く生息しているのがスギやヒノキです。
現在、日本の国土面積(3,779万ヘクタール)の約7割を森林面積(2,505万ヘクタール)が占めており、そのうち、人工林面積は1,020万ヘクタールで、森林面積全体の約4割です。
日本の人工林面積のうち、スギ・ヒノキ林が約7割を占めています。
(引用:林野庁)
人工林の44%を占めるスギは、生息環境や個体によって含水率が異なるため、今まで品質を均一化することが難しいとされてきました。
そこで開発されたのが、「人工乾燥木材(KD材)」です。
自然乾燥ではなく、機械乾燥によって含水率をコントロールし、安定した品質を確保します。
近年は、特に住宅用構造材としての用途に使われ、そのシェアは建築用製材品全体に対して50%程度を占めており、年々その需要は増えているのが現状です。
(引用:林野庁)
人工乾燥材(KD材)においても含水率によって分類され、含水率25%以下の材料を「D25」、20%以下の材料を「D20」、15%以下の材料を「D15」と表記します。
では、なぜこれほどまでに人工乾燥材が重宝されているのでしょうか?
それには、木材の含水率と強度の相関性がを知らなくてはいけません。
木材の強度が、含水率が繊維飽和点以下(30%以下)になると繊維が締まり始め、強度が増すとされています。
しかし、自然乾燥で繊維飽和点以下にするためには時間がかかりますし、天候次第で再び含水率が上がってしまうなど、なかなか正確にコントロールすることは困難なのです。
そのため、機械により含水率を徹底的にコントロールできる人工乾燥材が多くの現場で活用されています。
ただし、含水率が低ければ低いほど強度が増すという訳ではありません。
含水率が5%を下回り全乾状態に近づくと、木の細胞壁が収縮して凝集力(物体を構成する分子間に働く引力)が落ち、強度が低下し始めるのです。
また、細胞壁が収縮するということは、歪みや反り、割れなどの変形は避けられません。
含水率も重要ですが、その乾燥方法によっても品質は左右されます。
木を伐採して枝や葉を取り除いた後に、じっくりと時間をかけて自然乾燥させる方法で、油分が残り、粘り強く艶やかな木材に仕上がります。
ただし、適切な含水率にするまでに、長時間かかる点がデメリットです。【人工乾燥(低中温式)】
乾燥庫内の室温を徐々に上げていき、じっくり木材を乾燥させる方法です。
自然乾燥よりも短期間で含水率を低く安定させられる上に、ある程度油分や艶が保たれ、粘り強い木材に仕上げられます。
【人工乾燥(高温式)】
乾燥庫内の室温を100℃近くにまで上げ、急速に乾燥させる方法です。
短期間で含水率を下げられる一方で、変色や変形を引き起こす可能性があります。
【人工乾燥(高周波式)】
気圧を落とした乾燥庫内に木材を入れて、高周波熱を加えて乾燥させる方法です。
超短期間で乾燥させられますが、設備投資に費用がかかるため、木材価格に影響してしまいます。
ちなみに、建築基準法施工令では含水率と強度に関する基準が設けられており、以下のように書かれています。
第46条 (構造耐力上必要な軸組等)2の1のイ 構造耐力上主要な部分である柱及び横架材(間柱、小ばりその他これらに類するものを除く。以下この号において同じ。)に使用する集成材その他の木材の品質が、当該柱及び横架材の強度及び耐久性に関し国土交通大臣の定める基準に適合していること。(引用:建築基準法施工令)
条文内にある“国土交通大臣の定める基準”とは、「平成30年国土交通省告示第1324号」を指し、それを満たすためには含水率が15%程度である必要があります。
ただし、この基準に該当するのは、壁量規定の適用を除外するための条件であり、一般的な木造住宅の多くは該当しません。
建築基準法以外にも、日本農林規格(JAS規格)では、用途別に適切な含水率を設定しており、構造用製材・造作用製材は20%以下、枠組壁工法構造用製材は19%以下、集成材は15%以下としています。(参考:一般社団法人 全国木材検査・研究協会|製材のJAS制度)
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特に、木材へはとことんこだわり、自然乾燥または低中温式の人工乾燥でゆっくりと含水率を下げた高品質な木を厳選。
良質な木材をお手頃な価格でお客様にご提供できるのが、私たちの強みです。
まとめ
木材に含まれる水分量を示す「含水率」ですが、その数値によって木材の強度を大きく左右します。
最近は効率性や品質安定性を重視した人工乾燥材が多く出回っていますが、機械によって高音で急乾燥された木材は、油分が少なくなり、艶のないくすんだ色になってしまいます。
一方、自然乾燥や低中温の人工乾燥によって含水率を調整された木材は、粘り強く美しい艶を持ちます。
このように、木材の強度、ひいては家そのものの強度は、木材の含水率や乾燥方法と密接に関わっており、長持ちする家にするためには、木材に関する豊富な知識を持つ会社に相談することがポイントです。
私たち“フォレストブレス”は、1934年に製材所として創業して以来培った知識と経験を活かして、快適で健康的な暮らしが実現できる住まいをご提案しております。
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