太陽光発電と蓄電池の併用は必要か|蓄電池なし・ありのメリットとデメリット、蓄電池の選び方など解説
ご自宅へ太陽光発電システムを導入したいとお考えの方が多いですが、蓄電池まで必要かどうかは判断が難しいですよね。
まとまった額の費用がかかるため、コスパがいいのか分からないという方も少なくないでしょう。
そこで、今回は太陽光発電システムと蓄電池について、併用するべきかどうか詳しく解説します。
ご自宅の新築やリノベーションを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
●蓄電池のみの設置でもメリットがあります。
●“フォレストブレス”が、1934年創業以来木材会社として培った知識・経験を活かし、自然素材にこだわった“あなただけの住まいづくり”をお手伝いします。
Contents
太陽光発電と蓄電池の併用は必要?種類やあり・なしそれぞれの長所短所
2025年4月から東京都で新築住宅への太陽光発電設置が義務化されることが決定したニュースは、まだ記憶に新しいでしょう。
また、政府でも2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、住宅への太陽光発電システム導入を推奨しています。
そのため、ご自宅へパネルの設置を検討している方は多いはずです。
そこで頭を悩ませるのが、「蓄電池の設置」。
では、まず蓄電池の種類についてみてみましょう。
蓄電池の種類
家庭用の太陽光発電システムに使われる主な蓄電池は「リチウムイオン電池」で、充電方法と停電時の負荷方法によって分類できます。
・充電方式
単機能型 | 太陽光発電設備・蓄電池・パワーコンディショナーがそれぞれ独立したシステム |
ハイブリッド型 | 太陽光発電設備と蓄電池に加え、直流電気を家で使える交流電気へ変換するパワーコンディショナーを兼用している機器で、発電と蓄電ができる |
トライブリッド型 | 太陽光発電・パワーコンディショナー含む蓄電池に加えて、電気自動車用に充放電を調節できる |
単機能型はコストが安く、それぞれの機器についてメーカーを分けられる点や、太陽光発電設備がなくても蓄電池のみ単独で使用できる点がメリットです。
ハイブリッド型・トライブリッド型は、機器間を電気が移動する際のロスが少なく、停電時の出力が高い点がメリットですが、その分コストは割高になります。
・停電時の負荷方式
全負荷型 |
停電時に蓄電池から電気を供給する回線を限定しないため、全ての家電などが使用できる。 ただし、60Aまでの前負荷型蓄電池に対して、75A程度を使用している家庭では、ブレーカーを操作して、電気回線を絞る必要がある。 |
特定負荷型 | 停電時に、蓄電池から電気を供給する回線を1〜2つに限定するタイプで、優先順位の高い回線を指定して使えるようする。 |
全負荷型は、停電時でも短時間であれば日常生活と大差ない暮らしを送れますが、初期コストは高めです。
また、いろいろな家電が使える分、稼働可能時間が短めな点は注意してください。
一方、特定負荷型は初期コストが安く、蓄電池は小さくなりますが、停電時に使える家電などが限られますし、IHクッキングヒーターなど200V家電には対応できません。
その代わり、比較的長時間電気が供給されます。
蓄電池なしのメリット・デメリット
- ・太陽光発電システム導入の初期コストを安く抑えられる
- ・蓄電池の設置スペースが必要ない(生活スペースを減らさなくて済む)
- ・システム維持のためのランニングコストが少ない
- ・発電した電気のうち余剰電力を貯められない(余剰電力を電力会社へ売ることはできるが、夜間や悪天候時に自家消費用として使うことはできない)
- ・FIT法による固定買取期間である設置10年以降は、余剰電力が無駄になってしまう可能性がある
- ・天候が悪いと発電効率が下がり、買電力に頼らざるをえない(電気を自給自足できない)
- ・停電時や災害時に電気をバックアップ活用できない
- ・売電収入があまり得られない
- ・後から蓄電池を設置すると、工事費が割高になる
一般的な住宅への蓄電池設置は、機器と工事のコストを合わせると80〜200万円程度します。
そのため、どうしても初期費用が上がってしまいます。
“電気代の節約”を太陽光発電システムの導入目的としていれば一定の効果は得られますが、“電気代の大幅な削減”というと難しいかもしれません。
つまり、「蓄電池なし」ですと、短期的・一時的なコストを削減でき、長期的に見ると、少々コスト面で不利になる可能性もあります。
蓄電池ありのメリット・デメリット
- ・停電時でも発電エネルギーを家電などに活用できる
- ・不在時の発電エネルギーを夜間に使えるなど、買電力量を最小限に抑えられる
- ・太陽光と蓄電池を同時設置すると、別々に設置するよりも工事コストが圧縮できる
- ・太陽光発電システムがなくても、電気代が安い時間帯に買い溜めできてお得(詳しくはこちら)
- ・FIT制度の固定買取期間である設置10年以降でも、無駄なく発電エネルギーを運用できる
- ・自然エネルギーを余すことなく活用できるため、環境にやさしい
- ・初期コストが高い
- ・各設備の維持管理やメンテナンス、修理などのランニングコストがかかる
- ・設置場所が必要
- ・充電回数には限界がある
- ・出力には限界がある
蓄電池“なし”“あり”の場合、どちらにもメリットとデメリットがあるため、ご家族の考え方やライフスタイルによって必要かどうかは異なります。
そのため、太陽光発電システムの導入を検討する際は、ご自身の生活をイメージして、蓄電池の併用が適しているかどうかを検討しましょう。
太陽光発電に蓄電池を併用するのがおすすめのケース
太陽光発電システムを導入する際に、「蓄電池なし・あり」それぞれにメリットとデメリットがありますが、蓄電池を併用すべきケースは主に以下が考えられます。
どれかにひとつでも当てはまる方は、ぜひ蓄電池の採用を検討してください。
「昼間外出しがちで夜間に多くの電力を使う」
昼間のうちに発電した電力を夜間まで溜めて利用できる
「昼間在宅していて多くの電力を使う」
悪天候など、太陽光発電ができない場合でも、価格の安い夜間電力などを購入・蓄電して、昼間に使える(ピークシフト)
「災害時に自宅避難をしたい・避難所での生活が難しい」
介護が必要な方やペットを飼っている方でも、災害時に自宅で最低限の生活を継続できる
「停電時でも一定の電力が欠かせない」
昼間のうちに発電した電力を夜間まで溜めて利用することができる
「防災に配慮した住宅にしたい」
地震・台風などの自然災害に強い“安心して暮らせる”家になる
「“卒FIT”に備えたい」
FIT制度の固定価格買取期間が終了した後でも、電気代を抑えて自然エネルギーをフル活用できる
「これから太陽光発電システムの導入をする」
太陽光発電システムと蓄電時を同時導入することで、工事コストを削減でき、後付けするよりもお得
「太陽光発電システムを導入後5年以内である」
太陽光パネルの耐用年数は30年程度、パワーコンディショナーの耐用年数は10〜15年程度であるため、システム導入から5年以内であれば、後付けすることで蓄電池が寿命を迎える前に、早めに初期コストを回収できる可能性がある
(導入後10年以上経っている場合は、パワーコンディショナー取り替え時と同タイミングで蓄電池を設置するのがおすすめ)
私たちの生活に欠かせない電力ですが、日頃からあまり電気を使わない生活をしている方は、上記に当てはまっても初期コストを回収できないまま、蓄電池の寿命(15〜20年)を迎える可能性があります。
そのため、まずは日頃の電力使用量、電気使用のピーク時間帯を確認するのがおすすめです。
既に太陽光発電システムを導入してる方は、電気使用量と時間帯、年間発電量をモニタリングして、電気使用の傾向を知ることが重要です。
ご自宅の敷地条件によって発電効率が変わり、それによっても蓄電池があると損なのか得なのかが異なります。
「我が家の場合は蓄電池を導入すべきか判断できない」という方は、一度施工会社へ相談してみましょう。
蓄電池を単体で使う方法もある
ここまで、太陽光発電システム導入を前提にお話ししてきましたが、蓄電池だけをご自宅へ取り入れる方法もあります。
蓄電池とは、電力を蓄えるためのバッテリーです。
そのため、太陽光発電エネルギーだけではなく、電力会社から購入した電力を貯めておくことができます。
電気料金の安い時間帯に買いだめして、それを電気料金が高い時間帯や停電時に放電して使えるのです。
そのため、「太陽光発電システム導入のコストが気になる」「日射を妨げる建物が隣にあるため、太陽光発電を諦めている」という方は、ぜひ蓄電池のみの採用もご検討ください。
また、台風の災害が多く、停電になることが多いエリアにも、蓄電池の設置はおすすめです。
ただし、どのような蓄電池を選ぶかを慎重に検討しなくてはいけません。
蓄電池と言っても、種類やタイプはいくつもあるため、採用する際にはあなたのライフスタイルに適したものを選ぶ必要があります。
適切なものを選ばないと、初期コストの回収が難しくなるだけではなく、思ったように活用できません。
蓄電池の選び方7つのポイント
では、蓄電池の選び方を詳しく見てみましょう。
ここでは、特に重要な7つのポイントを紹介します。
その①「充電方式で選ぶ」
太陽光発電を利用せず、蓄電池のメリットのみ取り入れたいという方は、単機能型が良いでしょう。
既に太陽光発電システムを導入済みの方も同様です。
これから太陽光発電と合わせて蓄電池を設置する場合は、選択肢の多いハイブリッド型がおすすめですし、電気自動車に乗っている方やこれから乗り換える方は、トライブリッド型を選択肢に入れてみてください。
その②「負荷タイプで選ぶ」
負荷タイプによって、停電時の電気使用方法に大きく差が出ます。
オール電化の家やIHクッキングヒーターを停電時も使いたいという方は「全負荷型」の一択になりますが、停電時に最低限の家電製品を長時間稼働させたい方は「特定負荷型」がおすすめです。
全負荷型の場合も、ご自身で分電盤を操作すれば、電気が供給される箇所を制限できますが、初期コストが高くなり、機器が大きくなる点は注意してください。
その③「蓄電容量で選ぶ」
家庭用蓄電池の蓄電容量は、2kWh前後から16.6kWhまであります。
太陽光発電と併用する場合は、まず発電量目安を調べましょう。
例えば、300kW×20枚で6.0kWです。
これに対応できる蓄電池でないと、せっかく設置しても電気ロスが発生してしまいます。
ただし、蓄電容量が大きいとその分本体価格やメンテナンスコストは高くなりますし、設置スペースも広くなります。
導入コスト・ご自宅の消費電力量・太陽光発電量目安のバランスを見て、適した蓄電容量を選びましょう。
その④「定格出力量で選ぶ」
定格出力量とは、蓄電力を安全にどれくらいまで出力できるかを表す数値です。
この定格出力量によって、同時に使用できる家電製品などの種類・数が決まります。
数値が少なすぎると、一度に複数の機器が使えないため注意しましょう。
逆に、数値が大きすぎると、その分本体価格が高くなります。
適切な定格出力量を知るためには、時間帯ごとにどのような家電をどれほど使うのかデータを収集する必要があります。
その⑤「設置必要サイズで選ぶ」
停電時や災害時に不便なく電気を使うためには、蓄電容量や定格出力量が重要ですが、忘れてはいけないのが「設置スペース」です。
狭小地など設置場所が限られている場合は、スペースの都合上、選べる機種が限定される可能性があります。
蓄電池は、直射日光に当たり熱くなる場所ですと劣化が早まるため、できるだけ日が当たらない場所を選ぶのもポイントです。
その⑥「充電可能回数で選ぶ」
蓄電池は永続的に充電できる訳ではありません。
一定の充電回数を超えると、蓄電容量が減っていくため、停電時や災害時に想定通りに使えなくなる可能性があるのです。
充電可能回数はメーカーや機器によって異なるため、それぞれの「使用可能サイクル目安」を確認し、比較検討しましょう。
その⑦「アフターサービスで選ぶ」
蓄電池の寿命は15〜20年程度とされていますが、メーカーによって保証期間や保障内容は異なります。
例えば、Web上でのモニタリングサービスが付いているメーカーとそうでないメーカーがあるため、機能面で選択肢を絞った上で、アフターサービスで比較検討するのがおすすめです。
購入前には保証内容や期間、サポートサービスについてもしっかり確認してください。
蓄電池の導入を検討する際には、下記の条件を把握することが重要です。
- ・太陽光発電システムの有無
- ・ご予算
- ・発電期待量
- ・初期費用の回収期間目安
- ・電気使用シミュレーション(時間帯や消費量)
- ・設置場所の広さや環境
これらを施工会社やメーカーと確認しながら、適切な蓄電池を選びましょう。
蓄電池導入費用を軽減する補助金と申請時の注意点
蓄電池の導入には、最低でも80〜200万円程度の費用がかかるため、どうしても思い切れないという方もいるかもしれません。
そこでおすすめなのが、「補助金の活用」です。
政府は普及促進を行なっているため、いくつかの補助事業が設けられています。
太陽光発電システムや蓄電池の導入を検討する際は、併せて補助金情報もチェックしてください。
こどもエコすまい支援事業
こちらは、新築の注文住宅建設・新築分譲住宅購入・既存住宅のリフォーム(リノベーション)が対象です。
主な対象要件 (新築) |
→ZEHレベルの省エネ性を確保する上で太陽光発電システム・蓄電池の導入が必要な可能性あり |
主な対象要件 (リノベーション) |
→「開口部の断熱改修」「外壁・屋根・天井または床の断熱改修」「エコ住宅設備機器の設置(蓄電池含む)」が必須工事で、そのほか対象工事をすると補助金加算あり |
申請期限 | 遅くとも2023年12月31日まで(予算に達した時点で受付終了) ※完了報告期限は、交付決定から2024年7月31日まで |
補助金額 | 新築:100万円/1戸 リノベーション:上限30万円/1戸(工事内容により決められた額を合算) ※「子育て世帯または若者夫婦世帯」の場合は上限額引き上げあり |
※紹介するのは、すべて2023年7月時点の情報です。補助金の実施状況は変動するため、申請時には最新の情報を確認してください。
▶︎詳細は「こどもエコすまい支援事業」公式HPをご覧ください
DER・DR補助金(分散型エネルギーリソースの更なる活用に向けた実証事業)
こちらは、一般社団法人 環境共創イニシアチブが運営している補助事業で、約20億円もの国家予算が充てられています。
令和5年度の事業詳細に関する情報は公表されていませんが、令和4年度の詳細を参考に、該当するか確認しておくことをおすすめします。
主な対象要件 (令和4年度) |
|
公募期間 |
令和5年度分は未定 (令和4年度は、2022年6月1日 ~ 2022年12月23日12時) |
補助金額 (令和4年度) |
上限60万円/1戸(工事内容により決められた額を合算) |
※紹介するのは、すべて2023年7月時点の情報です。補助金の実施状況は変動するため、申請時には最新の情報を確認してください。
こちらの事業は、補助金額が大きいため、情報開示と共にすぐ申請が殺到し、すぐに予算に達して終了となる可能性が高いため、施工会社と事前に準備を進めておきましょう。
▶︎参考に「令和4年度 分散型エネルギーリソースの更なる活用に向けた実証事業」公式HPをご覧ください
各自治体の補助金
国による補助金以外にも、各自治体による補助金もあります。
お住まいのあるエリアに蓄電池や太陽光発電システムの導入に関する事業がないか、事前に確認してください。
例)
申請前に知っておくべき注意点
補助事業によって申請条件は異なりますが、ほとんどの場合、補助金の対象となるためには、指定されたメーカー・商品を採用しなくてはいけません。
また、補助金の交付通知が出る前に工事を行うと、交付対象外となってしまうケースがほとんどです。
そのため、蓄電池の導入を検討している段階で補助金に関する情報を集めておきましょう。
太陽光発電システムの導入実績もございますので、蓄電池を設置するかお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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まとめ
太陽光発電システムと併せて導入を検討することの多い蓄電池ですが、ご家庭によって必要な場合とそうでない場合があります。
メリットとデメリットを知った上で、あなたのライフスタイルに合っているか検討しましょう。
また、太陽光発電システムを導入せずとも、蓄電池のみ設置することで得られるメリットもあります。
導入にかかる初期費用は、補助金で一部をまかなえる可能性もあるため、施工会社に相談することも重要です。
「我が家の敷地が太陽光発電に適しているか分からない」「蓄電池が本当に必要か悩んでいる」そんな方は、施工実績のある会社へ相談することがポイント。
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