外壁が板張りの家|木材の種類、メリット・デメリット、費用など解説
「周りと一味違う家にしたい」「自然素材を使って温かみのある外観にしたい」そんな方に人気なのが、“板張り外壁”。
しかし、どのような材料があり、それぞれどのような特徴があるか分からないという方も多いはずです。
そこで、今回は“板張り外壁”について、材料の種類や特徴、施工事例から、メリット・デメリット、多くの方が気になる疑問まで、板張り外壁の施工実績が多数ある“フォレストブレス”「が徹底解説します。
ご自宅の外観デザインを検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
●外壁を板張りにする場合には、長持ちさせるために、外観デザインだけではなく家の形状や土地の特性を踏まえたプランニングが必要です。
●“フォレストブレス”が、1934年創業以来「木材会社」として培った知識・経験を活かし、自然素材にこだわった“あなただけの住まいづくり”をお手伝いします。
Contents
外壁が板張りの家|木材の種類と特徴を紹介
木造住宅の外壁仕上げには、いくつかの種類があります。
最もポピュラーなのが、「モルタル塗装」の仕上げですが、最近は乾燥期間が必要ない「乾式工法」である、サイディング貼りの家も増えています。
そこで、改めて人気が高まっているのが、「板張り外壁」。 窯業系サイディングや金属サイディングでも木目調のものはありますが、やはり無垢材の質感とは全く異なります。
古くから町屋などで取り入れられてきましたが、近年は自然素材にこだわる方から、大きな支持を受けており、その事例は増加しています。
では、まずは主に外壁に使われる木材の種類と特徴を見てみましょう。
外壁に使う木材の種類・特徴
外壁に施工される木材に共通しているのが、比較的水に強い木であるという点。
また、雨風だけではなく紫外線にもさらされるため、耐候性も持ち合わせていなくてはいけません。
日本の人工林で生息している樹木の大半は針葉樹であるため、外壁材にも比較的安価で流通が安定している杉・ヒノキが用いられるケースが多いです。
我が国の森林面積のうち約4割に相当する1,020万haは人工林で、終戦直後や高度経済成長期に伐採跡地に造林されたものが多くを占めており、その半数が一般的な主伐期である50年生を超え、本格的な利用期を迎えている。 人工林の主要樹種の面積構成比は、スギが44%、ヒノキが25%、カラマツが10%、マツ類(アカマツ、クロマツ、リュウキュウマツ)が8%、トドマツが8%、広葉樹が3%となっている。 (引用:林野庁|森林の適正な整備・保全の推進)
そのほか、特性の異なる木材がありますので、それぞれ詳しく見てみましょう。
〈杉(スギ)・焼杉〉
日本の人工林で生息している木の半数近くがスギであるため、建築資材として多く使われています。
生息地を限定した「秋田杉」「天竜杉」「吉野杉」などのブランド化した高品質な木材も多いです。
ただし、耐水性はそれほど高くなく、木目に沿って木割れしやすい点が欠点。 そこで生み出されたのが、「焼杉(やきすぎ)」という手法です。
耐久性を高めるために、杉板の表面を焼き焦がして炭素層を作り、腐朽菌やシロアリの繁殖を防ぎます。 雨に濡れる屋外においても、耐久性を確保できるのです。
その他、柿渋と松煙などの天然素材を主成分とした塗料を塗る「渋墨塗り」という方法も古くから用いられています。
防虫・防腐効果が高まるため、焼杉と同様に外壁材に活用されます。
〈落葉松(カラマツ)〉
落葉松(カラマツ)は、スギよりも硬度が高く、粘り強さのある材料です。
樹脂を多く含んでいるため、耐水性や耐久性に優れている点もポイント。
そのため、外壁材だけではなく、住宅の土台や線路の枕木など、幅広く活用されています。
適切に乾燥させれば、木割れしにくく、曲がりなどの変形リスクが低い優秀な建築資材です。
〈桧(ヒノキ)〉
ヒノキのうちでも、特に中心に近く色味が濃い「赤身(赤太)」と呼ばれる部分は、硬くて節がないため耐久性が高く、通気性・耐水性にも優れています。
長期間、湿気に耐えられるため、外壁材にも適しています。
経年によって白っぽい色から飴色に変化して光沢が増すため、家に用いれば“時の流れ”も楽しめます。 スギに次いで国内人工林で多く生息しているため、安定して材料が手に入る点も特徴です。
〈椹(サワラ)〉
サワラはヒノキの一種です。
日本に生息する針葉樹の中でも特に軽量なので、外壁材として用いても、建物への荷重を最小限に抑えられます。
無加工のままですと、ヒノキほど耐久性・耐水性は高くありませんが、赤身材を多く使えば、外壁材として使うことができます。
実際に、世界遺産である銀閣寺の屋根材や、桂離宮・金閣寺の修復にも使われています。
外壁が板張りの施工事例
板張りの外壁は、使う材料によって印象がかなり変わります。
また、同じ板材でも「横張り」にするのか「縦張り」にするのかよってもデザインに変化が生まれます。
では、いくつかの事例を見てみましょう。
〈カラマツ材(落葉松)+縦張り〉
こちらは、外壁全面をカラマツ材で板張りにした事例です。
日本瓦と組み合わせ、昔ながらの和風建築を彷彿させるテイストに仕上げました。
室内の床は杉フローリング、天井は杉羽目板仕上げを採用。 無垢材に囲まれた温もりの感じられる住まいです。
〈松・漆喰+縦張り〉
こちらは、一階部分に板張りを取り入れ、2階部分は漆喰で仕上げた事例です。
このように、板張りと他素材を組み合わせるデザインは、和風住宅・洋風住宅どちらにも合うため、近年人気が高まっています。
板張りとどのような素材・カラーを組み合わせるのかによって、外観デザインにオリジナリティをプラスできる点もポイントです。
〈焼杉+横張り〉
雨の多い日本においては、外壁に当たった雨水が下に流れやすい「縦張り」が主流ですが、こちらのように軒下など雨が直接当たりにくい場所には、「横張り」を採用することもできます。
焼杉を使い、素朴ででナチュラルな印象に。 ランダムな色ムラによって、外観に個性が加わりました。
木の性質を熟知しているからこそ、産地や樹種を特定せず、特性や性質を見極めて適材適所の木材を選定できるのです。
外壁を板張りにするメリット・デメリット|後悔しないためのポイントも紹介
外壁を板張りにする住宅が増えている理由は、いくつもメリットがあるからです。
ただし、一方では採用する前に知っておかなくてはいけないデメリットもあります。 では、それぞれ詳しく見てみましょう。
メリット
- ● 周囲の住宅とは違う雰囲気を持つデザインが完成する
- ● 部分張り替えがしやすい
- ● 経年変化を楽しめる
- ● 材料の廃番がない
まず、一般的な住宅とは一味違う雰囲気に仕上げられる点が大きなメリットです。
同じ樹種でも同じ木目はこの世に二つとしてありません。
また、自然が生み出した無垢材の風合いは、人工的な材料では再現することが難しいため、外観に“深み”を与えられます。
施工方法によっては、後から部分張り替えがしやすい点も重要です。
モルタルを塗装で仕上げた場合、同じ塗料を使っても、部分補修すればどうしてもその箇所が目立ってしまいますが、板張りですとそもそも色ムラがあるため、見た目はそれほど気になりません。
無垢材はの経年変化も忘れてはいけません。
樹種によって、紫外線に当たると施工時から色味が全く変わるため、時が経過するごとに、少しずつ表情が変わってきます。
例えば、カラマツはオレンジのような赤褐色から、銀白色へ変化します。
住む方がその家で歳を重ねていくと同時に、外壁も渋みのある色へ変化していくのです。 このように、家族の成長と共に変化するため、愛着の湧く住まいになります。
実用的な面では、廃番がない点もポイント。
サイディング材や塗料は、数年経つと廃番になり同じものが手に入らなくなる可能性が高いですが、無垢材ですとその心配はありません。
デメリット
- ● 施工に技術が必要で、どこの会社でも同じ品質とは限らない
- ● 変色や変形が起こる可能性がある
- ● 割れ・ささくれなどが出ることがある
- ● 虫食いが発生することがある
- ● 雨・雪や紫外線対策が必須
窯業系・金属系サイディング、モルタルなどの人工的な材料とは異なり、木材には天然素材ならではのデメリットや注意点もあります。
まず、外壁を板張りにするためには、材料の特性を読み取り、それを見越した施工技術が必要です。
例えば、木材の伸縮度合いを予測して板の繋ぎ目幅を調節したり、施工する季節によって施方法を少々変えたりしなくてはいけません。
そのため、どの会社でも同じ品質が提供できるとは限らず、木を知り尽くした施工会社へ相談することが成功の秘訣となります。
いくらハイレベルな施工を施したとしても、伸縮や反り、歪みなどの変形を完全に抑えることはできませんし、経年とともに変色も必ずおきます。
そのため、外壁を板張り材にする場合は、できるだけ変形リスクの少ない材料を選び、どのように色が変わっていくのかを事前に把握しておかなくてはいけません。
木材の種類によっては、過乾燥による割れやささくれ、虫食い、雨や雪、紫外線対策として、適切な保護塗装なども必要になります。
「板張りの外壁はメンテナンスが大変」と誤解される理由
外壁を板張りにしようと色々調べていると、デメリットに「メンテナンスが大変」と書かれている情報を目にするでしょう。
確かに、木材は防虫処理をせずに湿気を含めばすぐにシロアリに食べられてしまいますし、腐朽菌が繁殖して腐ってしまいます。
そのため、定期的に防虫剤注入や保護塗装をしなくてはいけないと思われがちです。
これらのメンテナンスは決して間違いではありません。
しかし、昔の日本家屋では木が外壁に多くつ使われていたにも関わらず、それほどメンテナンスされないまま何世代にも住み継がれていますよね。
大切なのは、外壁に適切な材料を選び、それを適切な方法で施工すること。
雨が当たりやすい部分の軒を深くして外壁が濡れにくくするなど、設計上の配慮も欠かせません。
これらをきちんと行えば、メンテナンスフリーも決して無理な話ではないのです。
多少汚れてもそれを“味わい・趣”として捉えられれば、メンテナンスを気にせずずっと住み続けられるでしょう。
外壁を板張りにする費用
板張りの外壁は、他の仕様と比べて“価格が高い”と思う方も多いでしょう。
果たして、それは本当なのでしょうか? 施工費の目安を比較してみましょう。
モルタル仕上げ+塗装 | 7,800円/㎡〜 |
金属サイディング | 7,000〜18,000円/㎡ |
窯業系サイディング | 6,000円/㎡〜 |
漆喰仕上げ | 7,500〜8,000円/㎡ |
板張り | 7,000〜15,000円/㎡ |
※上記単価は目安です。施工面積によって変動する可能性があるため、詳しくは施工会社へお問い合わせください。
金額はあくまでの目安で、材料のグレードや建物形状・大きさによって単価は異なりますが、板張りが極端に高いという訳ではありません。
ご予算に応じて、2種類以上の材料を組み合わせ、アクセントとして一部に板張りを採用する事例も増えています。
板張りを採用するか迷っている方は、施工会社に何パターンかの外観デザインを提案してもらいましょう。
それを参考に、ご予算に合わせてどこまで板張りにするかを調整できます。
当社でしたら、スギやカラマツを用いることで、窯業系サイディングよりもお安くご提案できる可能性もありますので、ぜひお気軽にご相談ください。
板張り外壁に関するQ&A
板張りの外壁がいくら人気と言っても、まだまだポピュラーとは言えません。
そのため、採用する際に気になる疑問があるはずです。
ここでは、多くの方が不安・心配に感じている点について、お答えします。
Q.「塗装などのメンテナンスサイクルはどのくらい?」
A.「基本的には無塗装がおすすめ。塗装する場合は3〜8年周期程度で。」
木材は、防腐・防虫・防カビへの対策が必要です。
しかし、適した樹種・木材を選べば、性能面で塗装する必要がない場合も少なくありません。
着色が目的で塗装する場合は、3〜8年周期で塗り替えするようにしましょう。
雨ざらしになる部分や直射日光を多く浴びる南面は、さらに短いサイクルで点検・メンテナンスする必要がある可能性もあります。
無塗装であれば、塗り替えは必要ないため、モルタル塗装仕上げや金属・窯業系サイディングよりも、メンテナンス手間がかからないということです。
つまり、世間の方が思っているように「板張り=こまめなメンテナンスが必要」とは限りません。
板張りを採用する場合は、できるだけ長持ちする材料・メンテナンス手間がかからないプランを提案してくれる会社へ相談しましょう。
Q.「雨が染みてカビが生えたり、腐ったりしない?」
A.「カビや腐朽は環境次第で防げる」 カビや腐朽菌が繁殖するためには、環境が整っていなくてはいけません。
つまり、逆に言えば、条件が揃わなければ繁殖しないということです。
カビ・腐朽菌が活性化する環境条件は以下の通りです。
- 「栄養」 木に含まれるセルロース・ヘミセルロース・リグニンや、手垢などの汚れ、有機性接着剤などを養分として、繁殖します。
- 「温度」 カビは、20〜35℃の温度環境で、最も活性化します。
- 「水分」 大気中の湿気が60%、木材含水率が20%以上になると活性化し、20%を下回ると沈静化します。
- 「空気」 通気が取れず空気がよどんでいる場所で活性化します。
- 「栄養」 木に含まれるセルロース・ヘミセルロース・リグニンを養分として、活性化します。
- 「温度」 30℃前後で最も繁殖に適した温度環境となり、3℃以下ですと沈静化します。
- 「水分」 待機中の湿度が上がって木材含水率が20%を超えると活性化し、乾燥して20%以下になると沈静化します。
- 「空気」 腐朽菌が繁殖するためには、空気中の酸素が必要です。
カビ・腐朽菌の生育に適した環境には共通点が多いことが分かるでしょう。
影響・温度・空気の条件を妨げることが難しいため、ポイントとなるのが「水分(=湿気)」へ対策をとることです。
できるだけ風通しを良くして、雨に濡れても乾きやすい環境を整え、木材含水率が上がらないようにしなくてはいけません。
例えば、隣家との間が狭い面や日陰になる時間帯が長い北面には、板張りでなく他の仕上げ材を選ぶと良いでしょう。
また、外壁のすぐ近くに樹木が生えていて常に湿度が高い場所、水捌けが悪く雨が壁に跳ねやすい場所にも要注意です。 長持ちさせるためには、板張りに適した場所へ採用するようにしましょう。
Q.「火事の時燃えやすくない?」
A.「基本的には燃えやすい。ただし、下地との組合せで防火性のUPが可能。」
一般的に外壁へ用いられる木材は、やはり防火性には長けていません。
そのため、都市部の住宅地などで「準防火地域」「法22条指定区域」に指定されているエリアでは、防火基準を満たさないため、採用できない可能性もあります。
ただし、下地に不燃材を使うなどで防火性を上げれば、基準を満たすことは可能です。
それ以外にも、焼杉は表面が炭化しているため火に強く、高い防火性を持つ天然素材として知られています。
法規上、材料に高い防火性を持つものを使用しなくてはいけない場合や、火事が心配という方は、板張り外壁の家を多く手がけている施工会社へ相談してください。
Q.「張り方にはどんな種類がある?」
A.「縦張り・横張りを使い分けることが重要」 板張りの張り方にはいくつかの方法がありますが、大きく「縦張り」と「横張り」に分類されます。
きちんとした施工をすれば、どちらも機能面で大差ありませんが、「縦張り」の方が当たった雨水が下に流れやすく、比較的水捌けが良いです。
そのため、一般的には雨が当たりやすい場所には「縦張り」、深い軒下やインナーバルコニーなど雨が当たりにくい場所には「横張り・縦張り」が選ばれます。
ただし、「横張り」は雨水が下までスムーズに流れていかない反面、板を少しずつ重ねた「下見板張り」ですと、壁下地まで水が侵入するリスクを少なくすることも。
まずは、デザイン面で「縦張り・横張り」を選び、その上で施工会社からアドバイスを受けるのがおすすめです。
外壁材はもちろん、下地材にも化学物質を含む接着剤を使用した合板・集成材は使いません。
「深呼吸したくなる住まいづくり」にとことんこだわっています。
まとめ
板張りの外壁には、意匠的なメリットだけではなく、長期的に住み続けるのに適したメリットも。
ただし、一方でメンテナンス面や材料選び・施工プランなどへの配慮が欠かせません。
そのため、外観デザインのイメージだけで板張りを取り入れるのは少々危険です。
長持ちさせるためには、軒計画などを含めた総合的なプランニングをし、土地の特性を見ながらできるだけメンテナンス手間がかからない材料を選ぶことが重要となります。
そこでおすすめなのが、施工実績の豊富な会社へ相談すること。
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