〈床暖房のデメリット〉新築住宅を失敗・後悔しないためのポイントを徹底解説
ご自宅の新築やフルリノベーションを検討している方の中には、「床暖房を入れるかどうか迷っている」方も多いでしょう。
決して安くない設備なので、「導入を後悔したくない」と思っている方も少なくないはずです。
そこで、今回は「床暖房」のデメリットやメリット、その他コスト、メンテナンスなど気になる疑問について詳しくお話しします。
「ずっと健やかで快適に暮らせる家にしたい」という方は、ぜひ参考にしてください。
● 床暖房を後悔しないためには、デメリットやコスト、メンテナンスまで、十分知っておくことが重要です。
● 床暖房を設置するかどうか迷った際は、間取り・住宅性能・ライフスタイルを踏まえ、建築会社とじっくり検討しましょう。
● 私たち“フォレストブレス”では、1934年創業以来木材会社として培った経験を活かし、自然素材にこだわった“あなただけの住まいづくり”をお手伝いしています。
Contents
床暖房のデメリット
床暖房について調べると、「入れてよかった」「快適」「気持ちいい」というポジティブな意見が多いですが、SNSやブログを見ると、床暖房を後悔している方は、決して少なくありません。
それは、事前に床暖房のデメリットを十分知らなかったからかもしれません。
床暖房の主なデメリットは6点です。
【床暖房のデメリット】
- ● 導入コストが高い
- ● ランニングコストがほかの暖房設備より高い
- ● メンテナンスコストがかかる
- ● 部屋全体が温まるまで時間がかかる
- ● 床材の選択肢が限定される
- ● 低温やけどが心配
では、それぞれ詳しく見てみましょう。
導入コストが高い
床暖房を導入する場合、電気式ですと大体「5〜10万円/帖」程度の費用がかかり、温水式ですとさらに床暖房に対応した給湯器(熱源設備)が必要で、「30万〜150万円」程度の費用がかかります。
そのため、住宅建設費全体の費用割合は決して少なくありません。
ランニングコストがほかの暖房設備より高い
ランニングコスト、つまり光熱費はほかの暖房設備と比べると割高な点は否めません。
家の断熱性や間取りよって金額は上下しますが、床暖房とルームエアコンとでは月々の電気代に差が出るケースが大半です。
例えば、8帖の部屋で毎日10時間、電気式床暖房とルームエアコンそれぞれを運転し続けた場合、電気代は床暖房で「約6,000円」、ルームエアコンですと「約4,500円」程度です。
一見それほど変わらないと思うかもしれませんが、エアコンよりも床暖房の方が部屋全体を温めるまで時間がかかるため、結果的には光熱費が大きく変わってしまう可能性もあります。
メンテナンスコストがかかる
床暖房パネルは、電気式でも温水式でも30年程度は耐久性があるとされていますが、温水式床暖房とセットの給湯器は15年ほどで取り替えが必要な可能性があります。
通常の給湯器と比べて床暖房対応のものは価格が高いため、導入の際には将来かかるメンテナンス費用も把握しておきましょう。
部屋全体が温まるまで時間がかかる
部屋の広さにもよりますが、電源を入れてから室温が上がるまで、1時間以上かかるケースも少なくありません。
そのため、真冬には結局ルームエアコンやストーブなどその他の暖房器具と併用している家も多いのです。
出入りの多い部屋ですと、床暖房のメリットをあまり実感できないかもしれませんので、採用する際は設置する部屋の使い方もじっくり検討しましょう。
床材の選択肢が限定される
床暖房の上に張る床材は、床暖房対応のものから選ばなくてはいけません。
なぜなら、床材によっては床暖房の熱によって変形・変色などが発生するリスクがあるからです。
そのため、床暖房を設置することで思うような床材を選べない可能性もあります。
低温やけどが心配
低温やけどとは、長時間温かい部分に皮膚が接していると起こる症状です。
比較的低い温度(44℃~50℃)のものでも長時間にわたって皮膚の同じ個所にふれていると人間の筋肉などが、壊死するために「低温やけど」を負う。一般的には44℃では3~4時間以上の接触で発症し、46℃では30分~1時間、50℃では2~3分で発症するといわれているが、そのときの体調など身体の状態によって異なる。
温水式ですと低温やけどになるほど表面温度は上がりませんが、電気式床暖房は、肌に触れる床面の温度が45℃程度まで上がる場合もあります。
そこに、長時間床に直接寝転んだり座ったりすると、「やけど」を追ってしまう可能性もあります。
低温やけどは自覚症状が分かりにくいため、高齢の方や小さなお子さんがいるご家庭では、特に注意が必要です。
床暖房のメリット
もちろん、床暖房にはデメリットだけではなくメリットもあります。
【床暖房のメリット】
- ● 足元を効率的に温められる
- ● 掃除が不要
- ● エアコンのように温風が出ないので、ホコリやチリが広がらない
- ● ストーブのようなやけど・火事の心配がない
温まった空気は部屋の上部に溜まります。
そのため、ルームエアコンなどでは足元がなかなか温まりません。
吹き抜けのある部屋やリビング階段のある間取り、間仕切りの少ない広々とした空間は、その傾向が特に顕著で、足元の冷え対策として床暖房の導入を検討する方も多いです。
温風が吹き出ないため、ハウスダストが舞わず、空気が乾燥しにくい点も大きなメリットと言えるでしょう。
ストーブのように、目を離した隙にお子さんやペットが触ってやけどしたり、倒して火事になることもありません。
電気式・温水式どちらがいい?ヒートポンプ(エコキュート)・エネファームとの組み合わせ
床暖房は、電気で床暖房パネルを直接温める「電気式」と、床暖房パネル内のパイプに入っている不凍液をお湯で温めて床に熱を伝える「温水式」があります。
それぞれメリットとデメリットが異なりますので、選ぶ際はじっくり検討してください。
〈メリット〉 | |
電気式 |
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温水式 |
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〈デメリット〉 | |
電気式 |
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温水式 |
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温水式床暖房は、組み合わせる給湯機(熱源機)によって、光熱費が大きく異なります。
最近は、省エネ性の高いものが増えており、選択肢も豊富です。
ヒートポンプ給湯機(エコキュート)
(引用:給湯省エネ2024事業)
ヒートポンプ給湯機とは、空気から回収した熱と、夜間電力や太陽光発電により得た電力を組み合わせ、最小限のエネルギーでお湯を作る設備です。
従来の瞬間型ガス給湯器とは異なり、貯湯タンクに水を溜め、時間をかけて温度を上げます。
オール電化のお宅に温水式床暖房を採用したい場合におすすめです。
ただし、屋外に貯湯タンクを設置できる場所が必要な点は注意してください。
ハイブリッド給湯機
(引用:給湯省エネ2024事業)
こちらは、ヒートポンプ給湯機とガス給湯器を組み合わせたタイプで、空気熱+電気とガスを効率的に活用して、給湯エネルギーを削減できます。
こちらは、オール電化ではなくガスも使うお宅におすすめです。
ただし、こちらもヒートポンプ給湯機と同様に、屋外に貯湯タンクを設置できる場所が必要になります。
家庭用燃料電池(エネファーム)
(引用:給湯省エネ2024事業)
こちらは、給湯のための設備というより、電気エネルギーを作り出す過程で、副産物としてお湯が作れる設備です。
ガスから水素を作り、空気中と酸素と融合させ、化学反応によって電力を生み出します。
発電時に発生する排熱を給湯エネルギーとして活用できるため、床暖房を長時間つけたい方におすすめです。
床暖房に関する気になる疑問|健康・光熱費・メンテナンス・耐用年数
「床暖房のメリット・デメリットは分かったが、まだ導入するかどうかの決め手に欠ける」という方のために、多くの方が気になる疑問にお答えします。
Q.「床暖房に健康的被害はある?」
「床暖房は健康に悪い」という情報も出回っていますが、そんなことはありません。
電気式は電磁波が出ると言われますが、これは床暖房に限る話ではなく、家電製品全般に共通します。
むしろ、空気中のダストが舞い上がらず、足裏を直接温めることで、冷え性対策や自律神経の乱れ改善、肩こり・便秘の緩和にも効果があるという説も唱えられているため、健康面ではメリットがあると言えるでしょう。
Q.「一日中付けっぱなしにすると光熱費はどのくらいかかる?」
床暖房は時間をかけて室温を温めるため、どうしても長時間電源を入れたままにしなくてはいけません。
そこで気になるのが光熱費ですよね。
設定温度や部屋の広さ、家の断熱性にもよりますが、1時間あたりの電気代・ガス代目安は以下の通りです。
暖房器具 | 1時間あたりの電気代・ガス代 |
電気式床暖房 (設定温度25℃) |
約15円 |
電気式床暖房 (設定温度30℃) |
約32円 |
温水式床暖房 (ヒートポンプ・設定温度30℃) |
約19円 |
温水式床暖房 (ガス給湯器・設定温度30℃・立ち上がり時) |
約61円 |
温水式床暖房 (ガス給湯器・設定温度30℃・定常時) |
約18円 |
エアコン (10畳用) |
約19円 |
こたつ | 約6円 |
ホットカーペット | 約10円 |
パネルヒーター | 約23円 |
温水床暖房は立ち上がり時に消費エネルギーが増えますが、一度温度が上がれば、電気式床暖房よりもお得です。
Q.「床暖房の耐用年数・メンテナンス内容は?維持費はどのくらい?」
床暖房パネルの寿命は、電気式・温水式どちらも「30年以上」と言われています。
ただし、温水式の場合、熱源となる給湯設備は15年程度で取り替えが必要です。
また、パイプの中を通る不凍液の定期的な取り替えや補充も必要で、多ければ1年に一度のペースで5,000〜10,000円程度の費用がかかります。
不凍液から水分が蒸発してしまったり劣化したりすれば、パイプが腐食して取り替えを余儀なくされる可能性もありますので注意しましょう。
床暖房は「いる?いらない?」迷った時のチェックポイント
「床暖房は結局いるの?いらないの?」とまだ疑問に感じている方もいるでしょう。
実は、最近、新築住宅において床暖房が採用されるケースは減っています。
なぜなら、家の高気密高断熱化が進んでいるからです。
昔の戸建住宅は、地面から伝わる冷気によって、1階の足元が寒くなってしまいましたが、高気密高断熱住宅においては、床下の断熱性も高まっているため、それほど冷えを感じなくなりました。
そのため、導入コスト・ランニングコスト・メンテナンスコストも踏まえ、採用の優先順位が低くなっているのです。
「床暖房よりも、全館空調で室温ムラを無くしたい」という方も増えています。
このような背景から、床暖房は以下に当てはまる方におすすめです。
【床暖房をおすすめする方】
- ● 断熱性の低い既存住宅を少しでも快適にしたい方
- ● ご予算に余裕があり、補助的暖房器具として床暖房を採用したい方
- ● 無垢の床を要望しない方(無垢フローリングは床暖房による伸縮が大きい)
特に重要なチェックポイントが、「無垢フローリングを採用したいかどうか」です。
無垢フローリング材でも床暖房に対応したものはありますが、人工的に急速乾燥させたものがほとんどなので、じっくり時間をかけて乾燥させられたものと比べると艶が劣ります。
また、樹種も限られるため、イメージと合う床材を選べないかもしれません。
そのため、床暖房ありきで家のプランを検討せずに、まずは家の気密性断熱性を高め、本当に床暖房が必要なのかどうかを建築会社とじっくり話し合ってみてください。
“フォレストブレス”の住宅は、断熱等級6を標準仕様とし、それより高いグレードのご相談も承っております。
断熱性能をどこまで高めるかは、ご予算や間取り、ライフスタイルなどをお客様とじっくり検討して、バランスよくご提案させていただきます。
まずは「こうしたい」「ああしたい」というお悩みを一緒に考えさせてください。
お客様のご要望に寄り添った“あつらえ設計”こそ、私たちフォレストブレスの強みです。
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まとめ
床暖房は快適な暖房器具として人気ですが、住まいへ取り入れる際はデメリットやコスト、メンテナンス方法まで、しっかり把握しておきましょう。
そして、高気密高断熱住宅においては、もしかしたら優先順位がそれほど高くないオプションかもしれません。
間取りや住宅性能、ライフスタイルを踏まえて、建築会社と床暖房の必要性についてじっくり検討してください。
私たち“フォレストブレス”は、1934年に木材会社として創業して以来培った知識と経験を活かして、自然素材にとことんこだわった家づくりを行っています。
“小さな家でコトを愉しむくらし”をコンセプトに、無垢材にこだわり抜いた家を数多く手がけていますので、お気軽にご相談ください。
「自然素材」にこだわった家の新築・リノベーションは茨城県石岡市のフォレストブレスへ
フォレストブレスは、「自然素材」と「あつらえ設計」にこだわった高品質な住宅を数多く手掛けています。
“本当に快適な家に住んでほしい”という想いから、家づくりに以下のものを使わないことをお約束します。
- ・化学物質を含む接着剤を使用した合板、集成材
- ・防蟻防腐剤注入土台・グラスウール
- ・ビニールクロス、廃棄時有害なもの
お客様の住まい方や個性、価値観に寄り添い、“あなただけの住まい”をご提案します。 「呼吸が深くなる家」それこそ私たちが追求する快適なマイホーム。
オーガニックな暮らしを実現したい方は、ぜひご相談を。 定期的に見学会などのイベントも開催しておりますので、私たちの家づくりをご体感ください。